2025-07-03

ミヤマスナゴケ


 写真はミヤマスナゴケ Dilutineuron fasciculare だと思います。 岩上に大きな群落を作っていました。

 上の最小目盛は1㎜です。 生育している様子から受けた印象より長く伸びていて、何年も伸び続けているようです。 伸びながら古い分枝は切り離されるのか、分枝は茎の上部で見られます。 種小名の fasciculus はラテン語の「小束」に由来しますが、上のような茎が集まった群落の様子を表しているのではないでしょうか。

 上の写真で、葉の長さは約2㎜、中肋は弱く(下の葉の断面でも分かります)、上の倍率では少し分かりにくいのですが、葉先近くにまで延びてきています。 蒴柄の長さは約 2.5㎜です。
 属名 Dilutineuron は、ラテン語の Diluti-(希薄な)とギリシャ語由来の -neuron(糸状の構造)からなっています。 私はこの属名は中肋の様子に由来すると思っているのですが、どうでしょうか。

 上は葉の断面です。 中肋は2細胞層で、背面に突出し、腹面は平坦です。

 葉先の細胞はパピラも無く、細長くなっていますが、透明尖はありません(上の写真)。 また、葉先近くから葉の基部に至るまで、細胞は長方形です。

 上は葉身細胞、下はその横断面です。

 葉身細胞には縦壁上にかぶさるように平坦な大きなこぶ状のパピラがあります。


 翼部の様子は葉によって少し異なりますが、有色で、無色になることはありません(上の2枚の写真)。


 蒴歯は短列で、表面は微小なパピラで覆われ、少なくとも中ほどまでやや対になって裂けています(上の2枚の写真)。

(2025.6.1. 京都市右京区 標高500m付近)

2025-07-01

ヤマモモ


 上はヤマモモ  Morella rubra の果実で、果実の重みで枝が垂れ下がっています。 2025.6.29.に貝塚市にある大阪府立少年自然の家での撮影ですが、ここではたくさん自生している木が見られ、地面に落ちてしまった果実もたくさんありました。
 本種は関東以南に自生する常緑樹です。 放線菌の一種であるフランキア菌によって根粒を形成していますので、やせ地でも育つことができます。

 本種は雌雄異株で、4月に花を咲かせます。 上は雌花序で、1つの花序にたくさんの雌花がついていますが、そのうち果実として残るのは1(~3)個です。

 上は雄花序で、1つの雄花に5~8本のオシベがあります。