2014-07-26

デンジソウ


 デンジソウは、漢字で書くと「田字草」で、葉の形が「田」の字に見えるところからです。 かつては水田雑草として普通に見られたようですが、農薬に弱いのか、今では限られた所でしか見ることができなくなってしまいました。
 密度の低いうちは上の写真のように水面に葉を浮かべていますが、密度が高くなると、互いに寄り添って光を求めて上に伸び、下の写真のように、まるで四つ葉ばかりのクローバーのような群落を形成します。


 立派なデンジソウの群落を見つけて、花は・・・と、いくら探しても花はみつかりません。 じつはデンジソウはシダ植物です。 では胞子は・・・と、葉の裏を見ても胞子のうも見つかりません。


 デンジソウは夏緑性です。 秋も深まって葉が少なくなりかけた頃に、上の写真のようなものが見られます。 これはたくさんの胞子のうを入れておく胞子のう果と呼ばれているもので、下はその断面です。
 上の写真も下の写真も、じつは1982年に(もちろんフィルムカメラで)撮ったもので、くっきり感はありませんが・・・。


 胞子のう果の中には、たくさんの胞子のうが見られますが、上の写真のように、大小2種類の胞子のうがあります。
 大胞子のうの中には1個の大胞子が、小胞子のうの中にはたくさんの小胞子が入っています。 私たちがよく見る多くのシダ植物では胞子は1種類ですが、2種類の胞子(大胞子と小胞子)の存在は、植物の進化を考えるうえで重要です。 大胞子は種子の基になる胚のう細胞に、小胞子は花粉の基になる花粉細胞につながります。

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