2014-08-20

TG-2 に LG-1

 オリンパスの TG-3 が6月14に発売され、小さな虫や花の細部を撮る「顕微鏡モード」がとても人気のようです。 私も購入したい気もするのですが、昨年の2月発売の TG-2 を既に持っています。 TG-3 は TG-2 の後継機で、TG-2 も基本的には同じコンセプトで作られています。
 TG-2 に関しては、使用してみての感想や撮影にあたっての問題点をこちらに書きました。 この中で、よく接写する私にとって最大のネックはライティング、つまりカメラとの距離が1cmしかない被写体にいかにして光を当てるかでした。
 今回、TG-3 の発売と同時に、カメラ本体のLEDライト光をレンズの周囲に導くLG-1(LEDライトガイド)が発売になりました。 この LG-1 は TG-2 にも装着できるということで、取り寄せてみました。


 上が TG-2(左上)と LG-1(右下)、下が装着したところです。 LG-1 が白く光って見えるのは、フラッシュの光を反射しているからです。 LG-1 自体に発光能力はありません。


 さっそく、冷蔵庫に入れて動きはにぶくなっているものの、生きている(=動きまわっている)ヤガタアリグモで試し撮りしてみました。


 上が LG-1 を装着した TG-2 (以下、TG-2と書きます)で撮ったものを少しトリミングしたもの、下は従来接写によく利用してきたカメラ(ニコンD7100+60mmマクロレンズ+×1.4テレコン:以下、D7100と書きます)で撮ったものを、大きくトリミングして、ほぼ同じ大きさにしたものです。


 2枚の写真を比較して、かなり印象が異なりますが、その大きな理由は、眼に映り込んでいる光のせいでしょう。 TG-2 ではレンズの周囲が光っているわけですから、眼にはサークル状の光が映り込みます。 D7100でも内臓フラッシュを使用していますので、ディフューザーが眼に白く映り込んでいます。
 TG-2 では、もっともっと大きく撮れますが、動きまわっている虫などを撮るには、このあたりが現実的でしょう。 大きさよりも気になるのは、画面の粗さです。 画面が粗くなる理由の一つは、フィルムに相当する映像素子の大きさです。 これはコンパクトカメラですから仕方のないことですが・・・。 もう一つの理由は、やはり光不足です。 これだけ近くで光を当てているのですが、撮った写真のプロパティを調べてみると、ISO は 1,600 になっていました。 これだけ自動的にISO感度が上がっているのに、露出時間は 1/40秒で、ブレた写真を大量生産してしまいました。 結論としては、動かないものは大きく撮れますが、動くものを接写しようとすると、LG-1 だけでは光量不足で、よほど明るい条件でない限り、補助ライトを用意するなど、工夫が必要ということでしょうね。
 これに対して、私がこれまで使っていた接写システムでは、そんなに大きく撮れませんから、かなりトリミングしているのですが、画質の良さは保たれています。 撮った写真のプロパティを見ても、フラッシュを使用していますので、動きは止まっていますし、ISO も 200 をキープしています。

 上で、TG-2 は  LG-1 を使用すれば、動かないものなら大きく撮れると書きました。 どれくらい撮れるのか試してみました。


 上は1万円札の左下にあるホログラムの一部を、ISOを 100 に固定し(シャッター速度は1/2にまで落ちました)、デジタルズーム無しで撮った、ノートリミングの写真です。 新札ですので、しわのように見えるのは、紙の繊維でしょう。
 実際の写真の大きさは 3,968×2,976 ですので、それをブログに載せるために、1,024×768 (この大きさで見るには写真をクリックしてください)にまで縮小しています。 どれくらいの大きさのものが写っているのか、ルーペを準備して(肉眼ではサクラの花程度しか見えないと思います)、実際の1万円札と見比べてみてください。
 さらに、デジタルズームを使い、ブログに載せる大きさにしているようにトリミングすると、上の写真の左上の「N」は下のようになります( ISO は 100 に固定、1,140×1,140 の切り出しをシャープネス加工し、640×640 に縮小しています)。


 この「N」の文字の実際の横幅は、0.2mmほどです。 TG-3 では、画素数だけを比較しても、TG-2 の 1.3倍になっていますから、もっと大きく撮れるのでしょうね。

TG-3 の接写能力( TG-2 との比較 )
 接写に関して TG-2 に追加された TG-3 の機能を検討してみます。 上に書いたように、TG-3 は購入していませんから、カタログ上の検討になりますが・・・。
 接写では被写界深度が浅くなります。 このことに対する対応策として、TG-3 は「顕微鏡モード」の「サブモード」として、「深度合成」と「フォーカスBKT」が準備されています。 前者では、カメラが自動的にピント位置をずらした複数枚(8枚?)の画像を撮影し、ピントの合った部分を選んで自動的に合成してくれます。 また後者は、カメラが自動的にピント位置を少しずつずらして、最大30枚の画像を撮影してくれますので、その中で自分の思った所にピントの合っている写真を選択すればいいわけですし、この30枚を使って、フリーソフトで深度合成もできるわけです。
 しかし深度合成するには、複数枚の写真を撮る間、被写体とカメラとの関係が不動であることが必要です。 虫が触角を少し動かしてもダメですし、手持ち撮影では不可能でしょう。 私の場合は野外に三脚を持って行くことはまずありませんから、野外では無理でしょうね。
 前に、TG-2 を使って、フリーソフトで深度合成しようとしたことがありました。 この時、TG-2 では、シャッターを押す時に、いくら注意深くしても、ほんの少しですが動いてしまいます。 小さなものを被写体にしていると、このほんの少しのズレが大きく影響し、まともな深度合成の写真を撮ることはできませんでした(こちら)。 ところが TG-3 では、通信機能の性能が上がっていて、スマートフォンでシャッターが切れます。 カメラのシャッターに触れなくても写真を撮ることができるわけです。 この機能は、近寄れば逃げる虫の集まる所に TG-3 をセットしておき、少し離れた所から、虫が来たところでシャッターを切る、といった使い方もできそうです。


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