2014-12-16

ナミコオロギバチ

写真1 ( 1,600×1,200 )

 成虫越冬し、冬でも穏やかな日は陽だまりで元気に活動しているギングチバチ科ケラトリバチ亜科のナミコオロギバチ。 そのフィールドでの様子はこちらに載せましたが、動きまわる蜂の写真で、同定には少し不安でした。 そこで、今年も元気に走り回っていましたので、1頭持ち帰り、冷蔵庫で動きをにぶくして写真に撮り、形態的な特徴を確認することにしました。

 科の確認は日本環境動物昆虫学会編「絵解きで調べる昆虫」で行いました。 この本のハチ目昆虫の検索表に沿って見ていきます。

・成虫の中体節と後体節の間は強くくびれる(細腰亜目)
   ↓
・後脚の転節は1節からなる(ヒメバチ上科などと別れる)

写真2 斜め下から見ています

   ↓
・前胸背板の両側は肩板に届かないが下側は伸長して胸部前気門をおおう
 (ハナバチ上科:スズメバチ上科と別れる)

写真3 胸部前気門は「」の奥

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・体の毛は単純(羽毛状になったり分枝しない)
 (アナバチ科群:ミツバチ科群と別れる)
   ↓
・前胸は前方に伸長していない(写真3)
 (セナガアナバチ科と別れる)
   ↓
・複眼内縁の中央上部は強く湾入しない
 (湾入すればギングチバチ科の Trypoxylon属か Pison属)

写真4

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・前翅の肘室は3つ(下の写真の赤い番号1~3)

写真5

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・腹部各節間は強くくびれることはない(ツチスガリ科と別れる)

写真6

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・縁紋は第1中室より小さい(写真5の緑色の名称参照)
 (縁紋が第1中室より大きければアリマキバチ科)
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・第1腹節は柄状ではない(写真6)
 (柄状であればアリマキバチ科かアナバチ科)
   ↓
・中脚の脛節距は1本

写真7

   ↓
ギングチバチ科

 手元にある検索表はここまでで、科から属、種までの検索表は無いのですが、ギングチバチ科で探すと、「蜂が好き」に載せられているナミコオロギバチの特徴によく合います。

 「蜂が好き」によれば、ナミコオロギバチ(以下、ナミ)によく似たヒメコオロギバチ(以下、ヒメ)がいるのですが、以下の点で区別できるとのことです。
・頭、胸部
  ヒメ・・・肉眼でわかる小点刻が密布する。 ナミ・・・極微細でつや消し状(写真3・5)。
・前伸腹節
  ヒメ・・・細かい網目状彫刻。 ナミ・・・荒い横しわ(写真5・6)。
・翅
  ヒメ・・・黄色味はほとんど無い。ナミ・・・黄色味がある(写真5など)。

 なおモデルとなったナミコオロギバチは、12月8日に堺市南区鉢ヶ峯寺から持ち帰り、撮影の後、元の場所に戻しておきました。

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