2015-01-24

フランネルフラワー

 このブログで取り上げる植物は、ほとんどが自生のもので、園芸植物はあまり扱わないのですが、形態的におもしろい植物があったので、例外として載せます。
 下がその植物で、フランネルフラワーという名前で呼ばれています。 切り花としての扱いだったのですが、品種改良が進み、鉢物としても出回るようになってきました。
 さてこの植物、何科でしょうか?


 多くの人は、中心部に筒状花がたくさん集まっていて周辺部に白い舌状花が並んでいるキク科と思うのではないでしょうか。 しかし・・・


 細かい毛が多いのはともかくとして、舌状花らしいものにメシベらしいものは全く見当たりません(上の写真)。 つまりこれは舌状花ではなく、苞です。 苞とは花の近くで形態を変えた葉ですが、葉である証拠に、先端が少し緑色になっています。
 筒状花が集まっているように見える所は、たしかにたくさんの小さな花が集まっているようなのですが、たくさん集まりすぎていて、1つの花のつくりは分かりにくくなっています。 そこをがんばって見分けると・・・


 1つの花のメシベは、上の写真に書き込んだように、根元から分かれ、2本になって伸びています。 このメシベをヒントに1つの花のつくりを見ていくと、毛がたくさん生えている花被は5枚ありそうです。 オシベはどれがどの花のオシベか分かりにくく、4~5本ありそうですが、花被が5枚ですから、5本なんでしょうね。
 キク科の花ならオシベは集まって筒状になっているでしょうから、キク科でないことは確かです。 では何科でしょうか。 小さな花がたくさん集まっていて、1つの花のメシベは2本で、花被やオシベは5本と言えば、思い浮かぶのはセリ科の花です。
 調べてみると、フランネルフラワーの正体は、学名は Actinotus helianthi で、オーストラリア原産のセリ科の多年草のようです。


 上は葉の一部です。 切れ込みの多い葉ですが、セリ科植物には深く切れ込んでいる葉を持つものが多いので、この点でも納得です。
 上の写真でも分かるように葉にも細かい毛が密生していて、触れると柔らかい触感があります。 「フランネル」の名前はここからでしょう。 この葉の表面を拡大して見ると・・・


 毛は星状毛でした(上の写真)。

0 件のコメント:

コメントを投稿