2015-02-15

ミドリハシリダニ科の一種


 葉の表を上にして落ちていたカミヤツデの葉を裏返して、地面に接していた裏側を見ると、たくさんのミドリハシリダニ科の一種(ダニ目ケダニ亜目)がいました。 カミヤツデのビッシリ生えている星状毛をものともせずに走り回ります。 体長は1mmほどですが、黒い楕円体の体に赤い脚と目立つ色彩で、肉眼でもよく分かります。
 上の写真では左が頭側ですが、背面中央少し後ろに水滴のようなものがついています。 BABAさんのブログを見せていただくと、ここが肛門の位置のようです。


 上は正面から撮ったものです。 レンズとミドリハシリダニとの間に何か余計なものがあったようで、気付かずに撮ったために霧がかかったようになってしまいました。
 注目したいのは、黒い体に、白い斑と赤黒い小さな円形のものが、左右対称に1組ずつ存在します。 左右対称に存在するということはゴミなどが付いているのではなく、ミドリハシリダニの体のつくりの一部です。 たぶん白い斑は前感覚毛に伴う構造で、赤黒い小さな円形のものが眼だと思います。 また、胴体の前端にある赤い部分は顎体部(がくたいぶ)で、口吻の左右に吸汁部を傷つける鋏角(きょうかく)があり(口吻と鋏角は上の写真では区別できません)、それらの左右に触角の役割をする触肢(しょくし)があります。

 ダニと聞くだけで「キャー」と悲鳴を上げる人もいるでしょう。 たしかにヒトの血を吸うだけでなく感染症を媒介するダニもいますし、アレルギー性疾患を引き起こすダニもいます。 しかしダニの種類は2万種とも言われていて、その生態も多様です。 分解者として生態系を支えているダニもいれば、なかには生物農薬として働いたり、チーズの熟成を助けてくれるチーズダニなど、直接人の役に立っているダニもいます。
 ここに載せたミドリハシリダニは、農作物に被害を与えることはあっても、ヒトの体に直接害を与えることは無さそうですから、安心して美しさを楽しめそうです。

(2015.2.7. 長居植物園)

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