上の写真、中央左にビロードツリアブが来ていますが、今回はムラサキサギゴケの花の受粉のしくみについてです。
ムラサキサギゴケの花冠は上唇と下唇に分かれています。 上はこの上唇と下唇の間を接写したもので、写真のちょうど中央で上下に分かれているのが(もう少し正確に書くと、上下に分かれている内面が)メシベの柱頭です。
上は花冠の下唇を引き下げ、上唇と下唇の隙間を広げて撮ったものです。 柱頭に続く花柱と、花柱の両脇に4本のオシベが見えます。
訪花昆虫は、この花筒の奥にある蜜を求めてこの隙間に潜り込む時に、体につけていた花粉をメシベの柱頭に付け、オシベの花粉を体に付けて次の花に向かうことになります。
この開いている柱頭に軽く触れると、スーと数秒で柱頭が閉じます。 開いていた柱頭に付いた花粉をしっかり保持するためのしくみでしょう。
上は柱頭が閉じてしまった花です。 2枚目の写真と比較してみてください。
ほんとうはこの閉じる様子を動画に撮りたかったのですが、接写の動画はカメラと対象物との距離を一定にしなければならず、カメラを持つ手と花を固定する手と柱頭に刺激を与える手の3本の手が必要で、フィールドでの手持ち撮影では不可能でした。
このような受粉のしくみを持つムラサキサギゴケにしてみれば、1枚目の写真のような、細い口吻を花に差し込むビロードツリアブなどは迷惑な虫なのでしょうね。 ハナバチなどに花に潜ってほしいところでしょう。
(2015.4.4. 堺自然ふれあいの森)
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