2015-09-23

コガシラコバネナガカメムシ

 写真はアカメヤナギの葉上でお休み中のコガシラコバネナガカメムシです。 堺自然ふれあいの森で9月18日に撮影しました。




 コガシラコバネナガカメムシ( Pirkimerus japonicus )は体長約8mmで、1961年に新種として記載されたコバネナガカメムシ亜科のカメムシです。
 コバネナガカメムシは、ヤガなどがササに開けた穴から茎の中に入り、茎の内側から吸汁し、茎の内側で繁殖し、ササの茎の外に出ることはほとんどありません。 このことが、写真のようによく目立つ体色の虫が最近になってやっと記載された理由だと考えられていました。
 堺自然ふれあいの森では繁茂しすぎたネザサの刈り取り作業を行っています。 その結果、棲家を失ったコガシラコバネナガカメムシが出て来ていたのでしょう。

 この虫の変わったところは、ササの茎から出ないだけではありません。 コバネナガカメムシ亜科に属する種は、その名のとおり短翅型がよく出現するのですが、コガシラコバネナガカメムシはこれまでのところ長翅型しか知られていません。 さらに、コガシラコバネナガカメムシは長い間、関東地方付近でしか記録されていませんでした。
 飛翔力のある長翅型がなぜ関東地方に限定されるのか、このような分布は侵入してまだ分布が拡大していない外来生物によく見られるパターンです。 中国の図鑑に本種がタケの害虫として載せられていることや、最近になって発見されたことと併せて考えると、種小名は japonicus とされましたが、どうやらコガシラコバネナガカメムシは中国から入ってきた外来生物のようです。

 この文は、とちぎ昆虫愛好会の機関紙「インセクト」(第 58巻1号,p.1-14,2007)に掲載されている、「高橋敬一:コガシラコバネナガカメムシとは何か?-「日本の」という名前を持つ外来種の話-」(こちら)を参考にしました。

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