ミドリヤスデゴケ
Frullania ericoides は湿ると背片が立ち上がるという特徴があります。 上の写真の樹幹に生えているミドリヤスデゴケは、立ち上がるところまではいかないものの、少し浮いたようになっています。
上は腹片や腹葉の様子を確認するために湿らせたものを腹面から撮った写真です(深度合成しています)。 腹面から撮っているために背片の立ち上がっている様子ははっきりしませんが、立ち上がる様子は前に載せたもの(
こちら)をご覧ください。
(以上は 2016.1.6. 堺自然ふれあいの森、以下は 2016.1.23. 堺市南区 大蓮公園)
上もミドリヤスデゴケのようなのですが、湿らせても背片はほとんど立ち上がりません。 雌雄異株で雄株の背片はあまり立ち上がらないのではないかと思われます。
湿らせた状態での深度合成を試みたのですが、上の写真からも分かるようにかなり乾いた状態だったので、急に湿らせたものは水分を失うのも速いようで、どんどん葉の状態が変化して動き、深度合成もできませんでした。
以下は顕微鏡観察です。
平凡社の図鑑には、「腹片は縦横同長」とありますが、これは腹片が帽状になっている場合(
こちらや
こちら)のことで、
こちらや上の写真のように袋が開いて披針形になることも多いようです。
上は背葉の基部(=茎と接する部分)を撮ったものです。 平凡社の図鑑には、ミドリヤスデゴケの背片は「両基部が明瞭に耳状になる。」とあります。 下の写真では一見背葉が茎からほぼ直角に出ているようにも見えるのですが、よく見るとたしかに上の写真と同様です。