2016-02-12

スミレモ

 石垣に生えていた黄色いロウソクゴケを一昨日に載せましたが(こちら)、今回は遠目にはそれとよく似たスミレモです。 ロウソクゴケはコケではなく地衣類でしたが、スミレモはたしかに藻(も)です。


 上の写真の岩にくっついているオレンジ色のものがスミレモです。 藻類の多くは水中に見られますが、どこの世界にも例外はあるもので、スミレモの仲間は「気生藻類」と呼ばれていて、一生を陸上で生活します。
 スミレモの名前は、スミレのにおいがする藻ということなのですが、私は今まで何度もスミレモのにおいをかいでみたことはありますが、土臭いにおいを感じたことはあっても、スミレのにおいを感じたことはありません。 もっとも、スミレモは一種類ではありませんから、種によってにおいの強弱があるのかもしれませんし、環境条件や時期によっても異なるのかもしれません。
 このスミレモは、分類学的には緑藻です。 たしかに厚い層を成しているスミレモの奥の方が緑色になっていることはよくありますし、水をかけてやると少し緑色が出てくることもよくあります。 光合成はクロロフィルで行っているのですが、酸素の多い空気中での生活のために、抗酸化作用の強いカロテノイドで身を守っているのだと思います。


 藻体は単列糸状体です。 顕微鏡で観察すると、細胞が一列につながっています(下の写真)。



 上の写真のような、糸状体の先などで見られる楕円形の細胞は、無性生殖器官でしょう。

(2016.2.10. 大阪府交野市私市)

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