2016-02-18
サルオガセモドキ
写真はサルオガセモドキ Tillandsia usneoides で、原産地は北アメリカ東南部からアルゼンチン中部です。 いわゆるエアープランツの一種で、家庭での栽培も増えてきているようです。 園芸的には種小名の「ウスネオイデス」が使われることも多くあるようです。
種小名の usneoides も「サルオガセに似た」という意味ですが、サルオガセの仲間は地衣類で、サルオガセモドキはパイナップル科の種子植物ですから、月とスッポンですね。
サルオガセモドキはスパニッシュモスつまり「スペインのコケ」とも呼ばれています。 植民地時代の名残であるかどうかはともかく、たしかにコケ植物のイトゴケなどとも似ていますが、サルオガセも含めて、これらは体全体で霧や雨の水分を吸収するという生き方をしています。 生き方が似ていると顔つきも似てくるということでしょう。
上はサルオガセモドキの一部を拡大したものですが、葉の表面は中空のトリコーム(trichome)で覆われています。 このトリコームには毛状突起や吸収鱗毛など、様々な日本語が充てられていますが、このトリコームで、紫外線を防ぐとともに、雨や霧の水分を保持し、表面の吸水細胞で水分を吸収しています。
ちなみに、この trichome の語源はギリシャ語で「髪」ですが、これで水分を「取り込~む」わけですね。
上でサルオガセモドキは種子植物であると書きました。 種子植物ですから花も咲きます。 が、小さな花です。 1枚目の写真にも花が写っているのですが、分かるでしょうか? 春によく咲くようで、単子葉植物ですから花は3数性です。
上がその花ですが、果実を見たことがありません。 日本で栽培されているものを見ているだけなので、花粉を媒介してくれるものがいないからだと思いますが、原産地ではどうなんでしょうか。
これもサルオガセやイトゴケとも共通する点ですが、サルオガセモドキは木の枝などに引っかかって生活していて、強風などで一部が千切れて飛ばされると、飛ばされた先で新たに枝などに引っかかって成長を始めます。
原産地では電線に着生し、その重みで電線を切ったり、梱包のための緩衝材に使われたりもしているようです。 無性生殖による繁殖力旺盛なサルオガセモドキは、あまり種子生産を重視していない植物なのかもしれません。
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