2016-05-04

オリンパスの FD-1 を使ってみました

 オリンパスのカメラ TG-4 用のフラッシュディフューザー FD-1 が4月28日に発売されたので、使ってみました。
 TG-4 は、その撮像素子の大きさから画質はレンズ交換式カメラにかないませんが、マクロ撮影の拡大率や機能の豊かさ、それにレンズがカメラの中心にあるので、直筒や3筒の顕微鏡であれば顕微鏡の上にちょこんと載せるだけで撮影できる手軽さから、愛用してきました。 ただ、近接のマクロ撮影ではどうしても光が不足するのですが、光が回らずフラッシュは使えませんでした。
 TG-4 にはフラッシュの他に LEDライトがついていて、その光を導いてリングライトのように使うための LG-1(=LEDライトガイド)があるのですが、LEDライトの光量は弱く、対象物から少し離れると効果がありませんでした。
 今回発売された FD-1 は、フラッシュの光をレンズの傍に導くと共に、レンズを囲むように反射板をセットすることでフラッシュの陰になる部分にも光が回るようにしてあります。


 上が TG-4 に FD-1 を装着した状態で、LG-1 よりかなりゴツイ印象です。 フラッシュから導かれた光で①が光ります。 ②は、影が濃くなりすぎる(後述)など、フラッシュの光が強すぎる場合に光を半減させるスイッチです。


 上はデーニッツハエトリを、FD-1 をつけた TG-4 で撮ったものです。 眼に映った様子で、FD-1 から実際に光がどのように出ているのかがよく分かります。


 上は FD-1 を使って顕微鏡モード(スーパーマクロ使用)でキャラボクゴケを撮ったものです。 ノートリミングで、4mm×3mmの範囲が写っています。 下は同じキャラボクゴケを(水に浸したりして方向などは変わっていますが)できるだけ同じ撮影条件になるようにして LG-1 で撮ったものです。


 両者を比較すると、全周から光が同様に当たる LG-1 を使った場合より、一方向からの光が強くなる FD-1 を使った場合の方が、影が濃くなり、対象物の凹凸がはっきりするようです。
 カメラと対象物との距離が少し離れていて LG-1 では光量不足になるような場合や、動きがある場合の他、上記のように対象物の凹凸をはっきりさせたいような場合には、FD-1 は役立ちそうです。 ただしフラッシュ光は LED のように光りっぱなしではありませんから、フォーカスブラケット撮影や TG-4 の内蔵機能を使った深度合成には使えません。 FD-1 と LG-1 を使い分けろということでしょうね(これについては後述)。
 なお、オリンパスは FD-1 の発売に合わせて、TG-4 の ファームウェアを Ver.2.0 に引き上げています。 以下、このことについて書いておきます。
 ファームウェアとは制御用プログラムのことで、デジタルカメラは部品を変更することなく、ファームウェアを変更することで、その機能を変えることができます。 フラッシュの光量についても、どれくらいの強さで光らせるのか制御が必要で、対象物とフラッシュとの間に FD-1 が入ることで、新しい制御のしくみが必要になります。 つまり TG-4 の ファームウェアを Ver.2.0 に変更しないと、FD-1 はうまく使えません。 もちろんこの新しいファームウェアのダウンロードは無料です。 なお、FD-1 は TG-1~TG-3 にも取り付けられますが、これらのカメらの FD-1 に関するファームウェアのバージョンアップはありませんので、オリンパスによると「撮影環境によっては露出が合わない場合があります」ということです。
 ファームウェアのアップデートは、オリンパスの全カメラに共通の「オリンパスデジタルカメラアップデーター」をダウンロードし、パソコンにインストールして行います。 具体的な方法はオリンパスのサイトに書かれてある内容に従ってください(簡単です)。
 ファームウェアを Ver.2.0 に変更すると、TG-4 の「MENU」ボタンからの「撮影メニュー2」の「アクセサリー」に「FD-1」が追加されます。 FD-1 を使用する時は、これを on にします。 そうすることで顕微鏡モードでは強制発光となり、フラッシュ補正(±2.0EV、0.3EVステップ)も可能になります。 また、顕微鏡モードの ISO 感度も低く( 密着に近いケースでは100 に)自動的に設定されますので、高画質な撮影が可能になります。
 なお、フォーカスブラケット撮影などで 内蔵LEDを使用する( LG-1 を使用する)場合は、上記「アクセサリー」の「FD-1」を off にする必要があります。予めカスタムモードに登録しておけば可能です。(カスタムモードへの登録方法は TG-4 の取扱説明書をご覧ください。)

 FD-1 を使用しない場合でも、ファームウェアの Ver.2.0 では次のような改善も行われていますので、アップデートしておくことをお勧めします。
・ A、P、顕微鏡モードでの撮影設定を保持
  (2つのカスタムモードがあるとはいえ、私にとっては、これは便利!)
・ インターバル撮影枚数が299枚まで撮影可能(従来は99枚)
・ ファイル名メモリーがリセットとオートから選択できる

 ところで、この時期に FD-1 が発売されるということは、「TG-4で深度合成」の最初に少し書いたようにTG-5 はもう作られないのか、それともかなり遅れて TG-4 とは大きく違った性能を持ったカメラとして登場するのかもしれませんね。

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