2017-03-27

宍喰浦の化石漣痕

 砂の層の表面をある流速で水が流れると、周期的な波状の模様が作られます。 漣(さざなみ)の痕(あと)で、これが古結し、化石のようになったものは化石漣痕(かせきれんこん)と呼ばれています。 上で「化石のように」と書いたのは、漣痕は生物の存在を示す痕跡ではなく、厳密には化石とは呼べないためです。
 動き易い砂の表面の漣痕(リップルマーク)が残って古結することは珍しく、大規模に残っている和歌山県白浜、徳島県宍喰浦(ししくいうら)、高知県千尋岬の3ヶ所は国の天然記念物に指定されていますが、この三ヶ所は南海トラフに沿った場所で、強い水流によって作られたものでしょう。


 上は宍喰浦の化石漣痕です。 下の2枚は上の赤い四角で囲った部分(撮った位置が異なりますので正確ではありません)の拡大です。



 漣痕の形から水流の方向が分かります。 地層を当時の海底の状態に戻すと、南海トラフの延びの方向と一致するということです。
 この漣痕が作られたのは約4千万年前の新生代古第三期で、当時は深い海底で、ほぼ水平であったと考えられますが、現在見られる地層の面は急な崖で、海洋プレートの押す力の強さを感じさせられます。

 3月25~26日、徳島県に行ってきました(こちら)。 目的はコケの観察でしたが、宍喰浦の化石漣痕は宿泊地のすぐ近くにあり、朝の散歩で撮ってきました。

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