2017-10-10
モーリッシュシゲリゴケ
上の写真の左側の(右側に比較して)大きな葉(背片)の苔がモーリッシュシゲリゴケ Tuyamaella molischii です。 樹幹に着生していました。
腹面から背片、腹片、腹葉の関係が分かる写真を撮ろうとしたのですが、これらはピッタリとくっついていて、低倍率の顕微鏡写真ではうまく表現できませんでしたので、以下、個別に載せていくことにします。
上は腹片のくっついた背片を腹面から撮っています。 この写真でも腹片の輪郭ははっきりしませんが・・・
1枚目の写真でも葉の縁が白っぽくなっていますが、背片の縁の上半部は2~3列の透明細胞で縁取られています。 また、背片基部にはビッタ(vitta:苔類の葉に見られる細長い厚壁の細胞列)があります。
円形の緑の濃いものは無性芽でしょう。
透明細胞のある縁の一部を拡大してみました(上の写真)。
上は、倍率を上げ(=被写界深度を浅くして)、できるだけ腹片のみにピントが来るようにして撮りました。
腹片の第1歯はやや金槌型になっています。 また、1細胞幅で2~4細胞長(上の写真の場合は3細胞長)の第2歯はキール側に曲がっています。
腹葉は、その基部付近から出ている仮根にいろんなものがくっつくなどで、なかなかきれいに撮れる腹葉が見当たりませんでしたが、上の写真(4枚の深度合成)は、どうにか形は分かります。
腹葉は茎径の3倍ほどの幅で、1/2ほどまでV字型に2裂し、裂片は舌形をしています。
上の2枚は、背片の中央付近と、縁の透明細胞近くの葉身細胞を見たものです。 細胞あたりの油体の数はばらつきが大きいのですが、中央付近の方が縁近くよりも多いようです。 油体は楕円体で、小粒の集合です。
上は背片腹面で作られていた無性芽です。
(2017.10.4. 奈良県 川上村)
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