2017-10-31
ムラクモハマダラミバエ
上はムラクモハマダラミバエ Staurella nigrescens のメスです(産卵管があります)。 (撮影:2017.10.9. 堺自然ふれあいの森)
オスは Part1 に載せていたのですが、Part1 は最近写真を保存している OneDrive との接続がうまくいかないようですので、順次こちらへ移し替えようと思っています。
以下は Part1 の 2012.12.14.の記事として載せていた内容を、ほぼそのまま移したものです。
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写真はミバエ科ハマダラミバエ亜科のムラクモハマダラミバエでしょう。 腹部の端(第7腹節)が長く伸びていないので、オスです。 体長は7mm、翅端までは8.5mmです。
ミバエの仲間は、このブログでも以前にミスジミバエを載せましたが、翅に模様があり、眼が美しいものが多いのですが・・・
ムラクモハマダラミバエを上から撮ると、少しフラッシュの光を反射するかな、という程度ですが、
横から撮ると、眼におもしろい模様があり、複眼の下部前方はフラッシュの光をよく反射しています。
それならばと正面から撮ると、複眼の下部はフラッシュの光を強く反射して、ファインダーを通して見ていると、まるで複眼の下部から光が出されたような印象を受けます(上の写真)。
なぜこのように眼が光るのでしょうか。 多くの哺乳類では、網膜の下にタペタムと呼ばれる反射層があります(詳しくはこちら)。 昆虫の複眼のつくりは詳しくは知りませんが、複眼に入った光が反射するのは、やはり少ない光を有効に利用するしくみがあるためではないでしょうか。 つまり、複眼を構成している各個眼では、入ってきた光情報を視細胞層が受け取り、視細胞層を通り抜けた光を反射させ、再度視細胞層に光を通すしくみを持つ昆虫もいるのではないでしょうか。 もしそうなら、そのような昆虫では、少ない光から外界の情報を取ろうとする場所ほどよく光ることになります。
ムラクモハマダラミバエの場合、下の方からの光が少ないのは理解できます。 また、赤茶色の縞模様の部分では、全く光っていません。 もしかしたら複眼を構成している個眼に機能的な分化があるのではないでしょうか。 例えば、物の形を見る部分、物の動きを知る部分、それらの情報を処理する部分などです。
ムラクモハマダラミバエの生態は、まだよく分かっていないようです。 この複眼は、生態と関係して、どのような機能を持っているのでしょうね。
一般的に、ミバエは植物の組織内部に卵を産み、孵化した幼虫は周囲の組織を食べて育ちます。 ミバエの仲間にも多くの種類がいて、幼虫の食べるものも違ってきます。 もし農業などの人の営みにマイナスになる植物を食べてくれるなら益虫ですが、果物などを食べるのなら害虫です。 ミバエは漢字では「実蠅」で、やはり後者のミバエが目立つのでしょうね。
ムラクモハマダラミバエの生態は、上に書いたように、よく分かっていませんが、幹にいるのがよく観察されています。 よく見られるのは早春と晩秋です。 ミバエの成虫は一般的には寿命が短いのですが、ムラクモハマダラミバエは成虫越冬しているのでしょうか。
いる場所からしても、出現時期からしても、ムラクモハマダラミバエは人の営みに大きな害は与えていないようです。 だからこんな美しい眼を持っているのに研究が遅れているのでしょうね。
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