2017-12-12

縁起物の植物

 「堺自然ふれあいの森」で23日に行う収穫祭のイベントの一つとして森を案内するのですが、今回はお正月も近いことでもあり、森にある縁起物の植物を中心に観察するつもりです。 3班で同様の説明をするためのメモを作成しているのですが、せっかくですので、その内容±αに写真を加えて、このブログにも載せておきます。(写真は「堺自然ふれあいの森」で撮ったものではありません。)

● センリョウ


 「千両」の字が当てられたのは江戸時代後期からです。 それ以前は「仙寥」と書かれていました。 「寥」は「もの寂しい」などの意味ですから、仙人が住むような静かな林床に育つ植物といったような意味になるのでしょうか。

● マンリョウ


 上のセンリョウ(千両)に対しての名前のようです。 センリョウの実が葉の上に位置するのに対し、実が葉の下に位置しますから、下に垂れるのは千両より重いからだとか、センリョウよりたくさん実をつけるからなど、名前の由来については、いろいろ言われています。

● アリドオシ


 蟻をも貫くような鋭い刺があり、庭に植えるのは危険なような気もしますが、これをセンリョウ・マンリョウと共に植え、「千両・万両、有りどおし(=いつも有る)」だそうです。

 千両・万両ときましたから、百両・十両にも触れておきましょう。

● カラタチバナ


 カラタチバナは常緑樹林の林内に生育する常緑小低木ですが、これを「百両」とも呼んでいます。 「百両」の名前の由来は、まだ斑入りの植物が珍しかった江戸の寛政年間に、斑入りのカラタチバナの栽培が流行し、これが高値で取り引きされたことによるようです。

● ヤブコウジ


 ヤブコウジは千両、万両、百両に比較すると、ずっと小さな木ですが、同様に赤い実をつけますので、「十両」の別名をつけたようです。 ちなみに和名を漢字で書くと、藪柑子で、「藪にある小さなミカン」といった意味になります。

 シダ植物についても書いておきます。

● ウラジロ


 注連縄(しめなわ)や鏡餅に使われるウラジロです。 ウラジロは毎年葉柄が長く伸び、その先に2枚の羽片を付けます。 数年分の羽片が生きていますから、「お父さんとお母さん」の2枚の羽片の間から翌年葉柄が伸び、新しい「若夫婦」の2枚の葉柄が出るとみなすことができます。 また、どの羽片も裏が白いので、夫婦共々白髪まで長生きしますように、という縁起物のようです。

● コシダ


 最後に、ウラジロと近縁のコシダについても触れておきます。 昔はシダといえばウラジロのことだったようで、コシダの名前は、その「シダ」に似て小さいからということのようです。

【植物学的な解説】
 植物学的な解説は、下の各植物名をクリックしてください。
  センリョウ  マンリョウ  ウラジロ  コシダ 

3 件のコメント:

  1. 今の時季、観察会で山を歩くと、赤い実、黒い実、小さな実、ちょっと大きな実、いろんな実に出会いますね、「センリョウ、マンエヨウ、アリドオシ」っと唱えるのですが、アリドオシがなかなか見つかりませんでした「百両、十両もあったよね?」っと辺りをキョロキョロ・・・
    「カラタチバナ、ヤブコウジだよね?」とか言いながら。そうそう、サルトリイバラも赤い実をつけてました。よく似たような赤い実なのに、実の付き方もそれぞれ個性的、面白いなっと思いました。

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  2. 「マンエヨウ」間違いです「マンリョウ」に訂正します。

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  3. たしかにアリドオシはそんなに多くは見ませんが、同じ属の、刺のもっと短いニセジュズネノキなどはけっこうよく見かけます。
    もちろん林が違えば生えている植物も異なるわけで、どんな所をよく歩くか、ということでしょうね。

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