2018-03-11

鳥類はどのようにして翼を持つことができたのか


 鳥類は系統樹に基づく学術的観点からは恐竜の仲間とされています。 つまり鳥類は飛翔能力を獲得した恐竜と言えるでしょう。 この飛翔に必要な翼は、骨格から人の手と比較すると上腕と手に羽根が生えたものと言えるのですが、どのようにしてできてきたのでしょうか。
 なお、恐竜から分岐した翼竜と呼ばれているものもいますが、この翼は第4指と脚の間に膜があるもので、鳥の翼とは大きく異なります。



 化石からは、小さな翼のようなものを持つ種から次第に大きな翼を持つ種が出現してきたことをうかがい知ることができます。 上の復元図には着物の袂のような小さな翼のようなものが見えます。 このような小さな翼を持つ恐竜も、何種類も見つかってきています。
 進化の大きな傾向としては、役立つものは益々その役割を充実させるように発達し、不要なものは退化する傾向にあると考えるのが妥当でしょう。 つまり上の図のような小さな翼も、何らかの役に立つから次第に大きくなり、大きくなった時点で使用方法を変更し、飛ぶことに使ったのだと思います。


 ところで、翼の話はしばらく横に置いて、大阪市立自然史博物館では、5月6日までの予定で、特別展「恐竜の卵-恐竜誕生に秘められた謎」が開催されています。 私も行ってきました。
 この特別展では、「卵の生物学」から始まり、恐竜の卵の実物化石をはじめ、それらの親や子の標本などが一堂に展示されています。 体内に卵のある化石はまだ世界中で2例しか見つかっていないのですが、その2例も展示されています。
 近年、恐竜の卵や巣の化石が、中国大陸を中心に数多く見つかっているということです。 そしてその発掘状況からは、卵の産みっぱなし → 卵を狭い範囲に産んで保護 → 卵を抱く という行動の進化も読み取れるようです。
 上はトロオドンの巣の様子の復元図で、特別展には復元模型もありました。 下も原始的なトロオドン類のシノベナートルですが、やはり小さな翼と、尾にも羽根が生えています。 上の復元図もよく見ると、羽の生えた尾で卵の集団を抱くようにしています。


 これらの復元模型などを見ていて、小さな翼もこれらの卵の集団を覆うのに役立っていたのではないかと思いました。 もちろん恐竜がそんな行動を取っていたことなどは確かめようもありません。 確かめようもないことを専門家が無責任に発言もできないでしょう。 それらを承知の上で、自然史博物館の田中学芸員に質問してみたところ、
「わかりませんが、ありうる話ですね。 羽根で覆うと暖かいですし・・・。」
と答えていただきました。

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