2018-03-02

ヒメタチゴケの“紅葉”



 上は葉に横じわがあり、ヒメタチゴケかナミガタタチゴケ(タチゴケ)のどちらかでしょう。 植物体の大きさからはヒメタチゴケ Atrichum rhystophyllum と思われますが、この新しい葉が赤く色づいていました。 赤くなったのは、細胞内で氷ができると細胞が破壊されるので、細胞内の液体の濃度を高めて凍らないようにした結果なのか、被子植物の新葉が赤くなるのと同じような仕組みがあるのかなど、いろいろ考えられるところですが、とにかく美しいものです。


 ヒメタチゴケナミガタタチゴケ(タチゴケ)はよく似ていますので、まずは確認から。 平凡社の図鑑の検索表によると、前者の方が小さく、葉身中部の細胞の長さは、前者が 12~18μmであるのに対し、後者は 17~25μmです。
 上の写真のように植物体はたしかに小さいのですが、細胞の長さも調べてみました。


 上は葉先から1/3ほどのところの、下は葉先から2/3ほどのところの葉身細胞です。


 やはりヒメタチゴケでよさそうです。 葉の中央から基部にかけて次第に赤くなっている葉を見ていますので、葉の基部近くでは下のようにもっと濃い赤色になっていました。


 葉の基部近くでは細胞はほぼ方形になっています。
 ところで、被子植物の紅葉や赤い花の色は細胞質が赤くなるのですが、上のように細胞壁が赤くなるのはどうしてなんでしょうね。

(2018.2.28. 堺自然ふれあいの森)

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