2018-04-03

ムクムクゴケのシーロカウレ


 シーロカウレをつけたムクムクゴケがありました。
 以下、シーロカウレとその他の雌性生殖器官との関係について簡単に書いておきます。
 通常、茎葉体タイ類の胞子体の胚は、造卵器の壁の細胞が発達したカリプトラ( calyptra )で保護され、カリプトラは葉が癒合し変形した花被( perianth )で保護されています。 また、花被の下の部分つまり茎の一部が発達して胞子体の胚の保護に役立っている場合もあり、これをペリギニウム( perigynium )と呼んでいます。 さらに多くの場合、その外側には葉が多少変形した苞葉( bract )(や腹葉が変化した腹苞葉( bracteole ))があります。
 シーロカウレ( coelocaure )はペリギニウムの一型で、カリプトラが発達しない構造を言いますが、ムクムクゴケ科の場合は茎由来の部分が極端に発達し、カリプトラ、花被や苞葉は退化しています。


 上はムクムクゴケのシーロカウレを大きく撮ったものです。 シーロカウレの表面には長毛が密生しています。 このシーロカウレの中で胞子体が育っていて、上の写真のものではシーロカウレの壁をとおして黒い蒴が見えています。


 上はシーロカウレから蒴が顔を覗かせている状態です。 蒴の裂け目もでき始めています。


 上は胞子を散布し終えた胞子体がなくなってしまい、シーロカウレだけが残っている状態でしょう。

 従来日本産ムクムクゴケは1種とされていたものが、現在では5種が認められていることはこちらに書きました。 上のムクムクゴケもハネムクムクゴケだと思うのですが、シーロカウレの撮影に夢中になり、確認することを怠ってしまいました・・・。

(2018.3.31. 赤目四十八滝)

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