アカイチイゴケがたくさんの無性芽をつけていたので少し持ち帰ったところ、苔類が混じっていることに気付きました。
下はこの苔類を腹面から撮ったところで、葉や腹葉の様子から、トサホラゴケモドキ
Calypogeia tosana のようです。
腹面に袋のようなものがついています。 下はその拡大です。
この袋状のものはマルスピウム(marsupium)でしょう。
マルスピウムについて簡単に書いておきます。 苔類の種類によっては、雌性組織の周辺の様々な部分が多肉嚢状に肥厚し、雌性組織を保護します。 この肥厚した雌花序をペリギニウム(perigynium)と言いますが、マルスピウムはこのペリギニウムの一型で、下曲し、地中に入るタイプのものを言います。
下はこのマルスピウムの断面です。
断面作成時にマルスピウムは植物体から離れてしまいましたが、上の写真の右側が植物体とつながっていた側です。 写真の左側に造卵器のようなものが見えるので、この部分を拡大したのが下です。
上の写真の解釈ですが、中央付近に徳利型の造卵器が複数写っていて、中央の大きな“徳利”の中では胞子体の胚が育っているのだと思います。
この胚が生長すると、
こちらの最後の写真のように、長く伸びた胞子体となるのでしょう。
(2018.12.19. 滋賀県 石山寺)
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