2019-03-19

キヌゴケ



 木の幹についていた黄緑色のコケ、キヌゴケ Pylaisiella brotheri のようでした。 たしかに絹のような光沢があります。



 2~3mmの枝をたくさん出し、枝葉は卵状披針形です。 蒴は卵形で直立、蒴柄は上の写真では6mmほど、平凡社の図鑑では5~8mmとなっています。


 上は茎葉で、長さは1mmほどでした。 最広部は基部近くにあり、先はやや急に細く尖り、少し鎌形に曲がっています。 多くの茎葉を見ると、短く2叉した中肋があるのですが、上の写真では、はっきりしません。
 翼部では方形の細胞が葉縁に沿って縦に30前後並んでいます。 下は翼部の拡大です。


 翼部の方形の細胞は中肋方向に向かって次第に線形の細胞へと移行していきます。


 上は葉の中央付近の葉身細胞で、長さは40~60μmほどです。


 枝原基には1~2細胞列の偽毛葉が見られました(上の写真)。


 上は蒴歯の見えている蒴(左)と蓋のついた蒴(右)で、ちょうど蓋の外れる時期だったようです。 蓋には短い嘴があります。


 上は蒴歯を蒴の内側から、下は蒴の外側から撮ったものです。 外蒴歯は16本で、内蒴歯は外蒴歯の歯の裏側に付着すると言われているのですが、よく分かりません。 いずれにせよ、内蒴歯の歯突起は先端を除き外蒴歯に付着しています。


(2019.3.13. 兵庫県三田市・有馬富士公園)

こちらには帽のある蒴をつけた時期の本種を載せています。



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