上は構図的なおもしろさを狙って撮っていた写真です。 奥に写っているのはススキゴケ
Dicranella heteromalla だと思って撮っていたのですが、確認のため、持ち帰って調べてみました。
葉の長さは4~5mmほどあります。 平凡社の図鑑では葉の長さは2.5mmとなっていますから、倍ほどの長さがあります。
このような長さの葉を持つものに、同じ属のホウライオバナゴケがあります。 蒴があれば、ススキゴケの蒴が傾く(
こちら)のに対し、ホウライ-の蒴は直立ですので、すぐ分かるのですが、蒴はついていませんでした。
葉先は尖っています。 芒状部は大部分が中肋ですが、中肋のみにはなっていません。
葉の基部での中肋の幅は葉の幅の1/3ほどで、葉先に向かうにつれて、中肋が葉の大部分を占めるようになります。 葉の基部の細胞は細長くなっていますが、翼部の分化は見られません。 これらはススキゴケの葉の特徴によく合います。
ホウライオバナゴケの葉もススキゴケの葉によく似ているのですが、鞘部から芒状への移行部は肩状になるようです。
上は葉の断面です。 平凡社の図鑑のススキゴケの図とは、切断した位置が違うので印象は異なりますが、細胞の配列の様子はほぼ一致しています。
ススキゴケ属は日本に約20種あるとされ、際立った特徴が少なく、分類は難しいとされています。 上のコケも、現段階では「?」付きでススキゴケとしておきます。
(2019.7.8. 和歌山県側の岩湧山麓)
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