写真はコシノヤバネゴケ
Dichelyma japonicum です。 渓流に突き出たエゴノキの幹についていました。 環境省の絶滅危惧Ⅰ類(CR+EN)に指定されているコケですが、笠井氏に案内していただいたこの場所では、元気に大きく育っていました。
葉が茎に3列に並んでいる姿は、たしかに矢羽根に似ています。 この葉が茎に3列についているのはカワゴケ科に見られる特徴なのですが、水中に生育するカワゴケ属では見逃しがちになってしまいます。
なお、本種はカワゴケ科に分類されている蘚類ですが、ヤバネゴケ科は苔類です。
葉の長さは3~4mm、雌苞葉は7~8mmある長い蒴柄を鞘状に抱いています。 円筒形の蒴は既に胞子を出し終えていますが、これを拡大すると・・・
内蒴歯は外蒴歯より長く、歯突起は横に連結して格子状になっています。 これもカワゴケ科の特徴の1つです。
葉は狭卵状披針形で、中肋は葉先に達しています。 葉身は中肋部で縦に折り畳まれているため、葉を広げて撮った上の写真でも、中肋部付近で葉の一部が重なって写っています。 また葉縁は全周にわたり強く反曲している(いちばん下の写真)ため、上の写真では舷があるように写っています。
葉先には小さな歯があります(上の写真)。
上は葉のほぼ中央の葉身細胞で、長さは 70~110μmほどです。
上は葉の横断面で、円内は中肋部の拡大です。
(2019.11.21. 滋賀県高島市)
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