2020-05-16

クマノゴケの葉のつくり


 2月23日に奈良市白毫寺町でみつけたクマノゴケ Diphyscium lorifolium です。 渓流の水を被る岩陰で育っていました。 撮影が難しい場所でしたので、育っている場所の撮影は断念、とても小さな群落でしたし、貴重なコケですので、確認のためにほんの少しだけ採集したのが上の写真です。


 最初の写真は湿った状態ですが、乾くと上のようになります。

 以下、葉の断面の観察です(2022.4.30.に採集した葉を用いての追記です)。

 上は1枚の葉の4ヶ所の断面で、下から、葉の基部近く、下から1/3の所、葉のほぼ中央、上から1/3の所です。 葉の基部近くには中肋以外の細胞も見られますが、他は中肋のみからなっています。
 以下、上の4ヶ所と同じ所の断面を、倍率を上げて見ていきます。

 上は葉先から1/3ほどの所で、断面は円く、葉緑細胞は中央に1層と、周囲にあるのみで、その間は透明な細胞で埋められています。

 上は葉のほぼ中央の断面で、背面も腹面も表面の葉緑細胞は1~2層です。


  上は葉先から2/3(基部から1/3)の所の断面で、腹面は平ら、背面は膨れています。 葉緑細胞は中央に1層と、腹面の表面にほぼ1層、背面表面の葉緑細胞は0~1層です。

 上は基部近くの断面です。 葉緑細胞は中央の一層のみになっていて、背面にも腹面にも見られません。

◎ クマノゴケの生態写真はこちらに、生殖や胞子体に関することはこちらに載せています。


0 件のコメント:

コメントを投稿