2020-05-05

春の有翅型ヌルデシロアブラムシ?

 五倍子として知られているヌルデの虫えいは、ヌルデシロアブラムシ Schlechtendalia chinensis が作ったもので、このアブラムシは、冬季には落葉樹であるヌルデを離れ、チョウチンゴケ科に宿主を変えるらしいことは前に書きました(こちら)。 コケも生態系の大切な一員で、ヌルデシロアブラムシに越冬場所を提供することで、私たち人間は五倍子を利用できたことになります。 しかし、このアブラムシがコケで越冬しているところを確認したいと思っていつつ、ひっそりと暮らしているアブラムシをみつけることは容易ではなく、そのままになっていました。
 そんな中でOさんが、4月19日に山から取ってきて鉢で育てているコツボゴケ(チョウチンゴケ科)で、翅の無い褐色のアブラムシ(有翅虫の幼虫)と翅のある黒色のアブラムシ(有翅虫)をみつけたことを、Facebookで4月21日に報告されました。
 私がヌルデシロアブラムシかもしれないことを伝えると、観察を継続され、脱皮して有翅虫の姿になるまでの様子も撮影されました。

翅原基を持つ有翅虫の幼虫

脱皮中

近くにとまった翅の伸びた有翅虫

 このアブラムシは今日(5月5日)現在に至るまで、ポツリポツリと有翅虫となり、飛び去って行くことを続けています。 このアブラムシが秋にヌルデから移動してきた証拠はありませんし、有翅虫を見て種名を同定する力は私にはありません。 また、春にチョウチンゴケ科のコケにいるヌルデシロアブラムシの有翅虫の姿は、検索しても見つけられませんでした。 しかし秋にヌルデの虫えいの中にいたものとよく似ていますし、状況から見ても、このアブラムシがヌルデシロアブラムシである可能性は、かなり高いと思います。(どなたか、アブラムシに詳しい方にコメントをいただければ幸いです。)

(参考) 初冬に見られた有翅虫                
ヌルデから越冬場所を求めて来たヌルデシロアブラムシ?


◎ この記事に使用した写真は、Oさんが Facebook に載せられたものを、Oさんの許可を得て使用しています。(トリミングなどを行っています。)

-----(以下、2021.2.27.追記)------------------------------------------------

 昨年の12月にOさんからアブラムシがいそうな所のコツボゴケを送っていただいたところ、暖かくなってアブラムシが出てきました。 詳しくはこちらに書いています。


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