2020-06-13

アジサイの花


 アジサイの季節ですね。 「アジサイ」はアジサイの仲間の総称としても使われますが、以下は、たくさんの花が集まって盛り上がり、上の写真のように手まり状になった狭義のアジサイ Hydrangea macrophylla f. macrophylla について書くことにします。 このアジサイは、日本に自生するガクアジサイ Hydrangea macrophylla f. normalis から観賞目的で作られたものです。
 ガクアジサイのところ(こちら)で書きましたが、ガクアジサイの花は周辺部に虫に花の存在をアピールする装飾花を配置し、中心部には種子生産を目的とした小さな両性花をたくさん配置しています。 アジサイ(狭義のアジサイ:以下同じ)は、このガクアジサイの装飾花の多いものを選択することを繰り返し、ほとんど装飾花ばかりになった品種です。 なお、上に書いた学名の「 f. 」はラテン語の forma の略で、「品種」を意味します。 つまり、アジサイとガクアジサイは品種の違いであり、同種です。
 上で、アジサイの花は、ほとんど装飾花ばかりの集団だと書きました。 装飾花は、ガクが大きくなった花で、目立ちますが、受粉し種子を作るという生殖器官としての機能は低下しています。
 上に書いた学名の属名 Hydrangea は、ギリシア語の hydro(水)+aggos(瓶)からなっており、朔果が水がめの形をしているところからですが、これはほとんど結実しないアジサイでは確かめようもないですね。 ちなみに種小名は「大きい葉の」という意味です。 なお、シーボルトがお滝さんの名を記念して、アジサイを Hydrangea otaksa と名付けたことはよく知られていますが、この名は現在は無効とされています。


 写真のアジサイの花は、ガクと花弁の色が異なっていて、花のつくりについて理解しやすくなっています。 このアジサイでは、ガクはピンク系で、花弁はブルー系です。


 上の写真では、どの花も4枚のガク片は大きくほぼ水平に開いていますが、多くの花の花弁は閉じたままで、花弁が開いてオシベやメシベが現れているのは写真の下に写っている2つの花のみです。


 上は花弁の開いている花の中央部を拡大したものです。 花弁は4枚、オシベは8本、1本のメシベの柱頭は3つに分かれています。

※ この項は、Part1の2014年6月24日の記事を少し改変し、こちらに引っ越しさせたものです。

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