湧水が葉の上を流れ落ちるホウオウゴケ属のコケ、大きなホウオウゴケ属ですが、枝の長さに比して幅が狭く、スリムな印象を受けました。 以下の観察結果を
こちらと比較してもホソホウオウゴケ
Fissidens grandifrons だと思うのですが、平凡社の図鑑では北海道には分布しないことになっています。
上は乾燥してきて葉先が巻いてきていますが、横から見ると枝分かれの多いことが分かります。
葉の長さは5mmほどです。 スリムに見えるのは葉の茎につく角度が鋭角であるためのようです。
上は、葉の基部が分かるように、下方についている葉を取り除いて撮った写真です。 背翼の基部が茎に下延しています。
上は葉の上部で、中肋から左方が上翼、右方が背翼です。 葉縁には細長い細胞からなる舷は無く、舷から葉縁にかけて次第に色が薄くなっていますが、葉縁の細胞に他の細胞と異なった特徴は見られません。
上は葉の下部の横断面で、左下に伸びているのが腹翼、右上に伸びているのが背翼です。 横断面で見ると、どこからどこまでが中肋なのか、境が曖昧になります。 腹翼は中肋に近い数細胞層の厚さから葉縁に向かって次第に薄くなり、1細胞層で終わっています。
上は中肋付近の横断面です。 ステライド(と言っていいのかどうか・・・)が上下に見られます。 このような組織はあまり他のホウオウゴケ類では見られないと思うのですが・・・。
上は葉の上部の表面から見た背翼で、葉身細胞は不規則な方形~六角形です。
(2020.8.31. 北海道 苫小牧市)