2020-12-18

種子とは

 「コケ植物は胞子で増え、種子植物は種子で増える。」とか、「昆虫も魚も、動物は卵を産んで仲間を増やし、種子植物は種子を散布して仲間を増やそうとする。」と子供の頃に学校で学びました。
 これらの言い方は、「増え方」に関しては間違いとは言えないでしょう。 しかしこれらを聞いて、胞子、種子、卵を同じようなものと思っている人もいるようです。
 コケ植物の胞子は、卵(受精卵)からできる胞子体という世代がつくる生殖用の細胞であることは、このブログを見ていただいている人には、もう常識でしょう。 じつは種子植物の種子も、メシベの根元にある子房の中につくられる卵細胞が受精卵になるところからスタートします。 種子は、この受精卵からつくられた植物の“赤ちゃん”が、当面の“お弁当”も準備してもらい、成長に適する時期まで殻に閉じこもって待機している状態だと言えるでしょう。
 下はカキの種子の断面です。 ちゃんとカキの木の“赤ちゃん”が入っています。 正確には「胚」という言葉を使うべきでしょうが・・・。
 最近は種子の無いカキも多いのですが、カキの種子は身近で、断面を作るのに手頃な大きさです。 もし断面を作って自分の目で確かめたい場合は、怪我をしやすいので、くれぐれも慎重に。 

 上の写真で、「子葉」や「幼根」は胚の各部の名称です。 そして「胚乳」が胚の“お乳”つまり、殻に閉じこもって光合成できない間の、そして土の中から陽の当たる所まで成長するための“お弁当”です。
 なお、胚によっては、胚乳の栄養分を吸収して、すっかり子葉に移し替えてしまう植物もあります。 このような種子では、種皮の内側のほとんどが子葉で占められていて、「無胚乳種子」と呼ばれています。
 無胚乳種子の例として、お正月用の黒豆(=大豆の品種)を載せておきます。 下は黒豆に水を吸わせて膨らませたもの(奥)と、それから黒い皮(=種皮)を取り去ったもの(手前)です。

 カキ〇ーのピーナッツも、無胚乳種子をつくる双子葉植物(子葉が2枚)の種子ですから、栄養を貯めた2枚の子葉に簡単に分かれます。

※ 上は Part1の 2012.12.12.の記事を、少し書き換えてこちらに引っ越しさせたものです。





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