2021-08-04

シナノキンバイ、ミヤマキンポウゲ、ミヤマダイコンソウ

 

 高山植物の写真で目にする機会の多いいちめんの黄色い花、上は 2021.7.8.に秋田駒ケ岳で撮った写真ですが、今回はこのような背が高くなり、大きな群落を作る可能性のある3種を並べて比較してみました。

シナノキンバイ Trollius japonicus キンポウゲ科

 中部地方以北の高山帯の、湿った草原に生えます。 写真は 2021.7.15.に栂池自然園での撮影ですが、写真の場所も谷筋で、横に水が流れていました。 写真は少し小型ですが、高さは70cmほどになる場合もあり、いわゆる高茎草原の代表的な構成種です。
 7~8月に径3~4cmの花を咲かせます。 黄色の花弁のように見えるのはガク片で、5~7枚つきます。

ミヤマキンポウゲ Ranunculus acris var. nipponicus キンポウゲ科

 平地でもよく見られるウマノアシガタ(=キンポウゲ) Ranunculus japonicus に近縁で、花もよく似ています。 上も 2021.7.15.に栂池自然園での撮影で、分布も生育環境もシナノキンバイによく似ていて、葉も切れ込んでいますから、写真では区別が難しそうに見えるかもしれません。 しかし、全体に小形で、花の径はシナノキンバイのほぼ1/2で、葉の切れ込みも、特に茎の上部の葉は少なくなっています。
 形態学的に両者の違いがいちばんはっきりするのは花のつくりで、本種の黄色いのは5枚の花弁で、花弁の下には、ちゃんとガク片もついています。

ミヤマダイコンソウ Geum calthifolium var. nipponicum バラ科

 花の径はミヤマキンポウゲとほぼ同じで、花弁も5枚と似ていますが、葉が全く違いますから、葉を見れば間違うことはないでしょう。 花もバラ科ですので、たくさんの細いオシベがあり、その中央にたくさんのメシベが集まっています(下の写真)。
 亜高山帯~高山帯の岩隙、砂礫地に生育しますが、国内の分布は本州中部以北の他、奈良県の大峰山や四国の石鎚山にも分布します。

 ダイコンソウの花にヤドリコハナバチ属(Sphecodis)の一種が来ていました(上の写真)。 昆虫がいると、つい昆虫の方にピントを合わせてしまいます(-_-;)

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