もう10年近く前になりますが、このブログのPart1、正式には「そよ風のなかで(Plants,insects and birds near at hand)」に、「昆虫の脚はなぜ6本か」という記事を書きました(こちらに引っ越しています)。
記事の主旨は、子供科学電話相談で、昆虫の脚はなぜ6本なのかという小学生の質問に対し、「胸部が3節だから」という回答があったが、昆虫の進化してきた道筋を考えると、胸部が3節だから脚が6本というよりは、脚は6本がいいから胸部は3節になったと考える方がいいのではないか、といったものでした。
これを読んでいただいた方から、ではクモの脚はなぜ6本ではなく8本なのか、という質問をいただきました。 以下はこれに関する私の意見です。 もちろん何の科学的根拠も持たない私の勝手な考えにすぎませんが、考えることは楽しいことなので・・・
クモは(脚はひとまず横に置いて)総合的な形態の比較からも、DNA解析からも、昆虫や甲殻類よりもずっと古い時代に分かれた別のグループで、カブトガニや三葉虫に近い仲間です。 つまり昆虫とは全く別の進化の道筋をたどった生物です。
いずれにしても、体の軸に沿って繰り返し構造を持つことが節足動物の共通の形態的特徴ですが、それぞれの進化の過程で並行的に各体節の“分業”と“整理”が進み、それに伴って脚に関しては減少する方向に進み、クモの脚は8本に、昆虫の脚は6本に落ち着いたのではないかと思います。
ではなぜクモの脚は6本にまで減らなかったのか、きっとクモの生活にとっては8本が便利なのだと思いますが(でなければヒトの尻尾のように退化する傾向が見られると思います)、これはクモの脚の使い方をいろいろと観察するしかないと思います。 1例をあげると、円網を張るクモでは、4本の脚で足場となる糸の上を移動し、2本の脚で糸と糸との間隔を測り、もう1対の第4脚で腹部末端から出る糸を操作しているように思うのですが、私はクモの行動を意図的に観察した経験は無く、これもまゆつばものです。 この文章も、質問をいただかなければ書くことは無かったでしょう。 また特にカニグモの仲間などでは脚の欠けた個体をよく見ます。 脚が取れやすいことを見越して予備的な脚を準備しているのかもしれません。 いずれにしても、現在の地球上に生きている生物は、どんな生物も、それぞれの生活に適応た姿をしている、ということでしょう。
最後に、クモも多様で、種によって8本の脚をいろいろ使い分けていようですが、それを考えるヒントとして、脚の形態でいくつかのタイプに分けてみたもの(私のオリジナル分類)を以下に並べてみます。
● (2+6)のタイプ
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マネキグモ |
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セアカゴケグモ(オス) |
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アリグモ(メス) 第1脚を触角に見せているように思われる |
● (4+4)のタイプ
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クマダギンナガゴミグモ |
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アカイロトリノフンダマシ(後ろの4は隠れていて見えません) |
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アズチグモ(オス) |
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ワカバグモ |
このタイプの変形として、待機時には下のような((2+2)×2)の姿も見られます。
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チュウガタコガネグモ |
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コガタコガネグモ |
● (4×2)のタイプ
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コモリグモの一種 |
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アシダカグモ |
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