2022-09-16

ウトウ・エトピリカ

 上は札幌市の北海道大学植物園内にある博物館です。 明治15年竣工の北海道最古の博物館で、北海道開拓使の星形マークを使った建物や、内部のガラスケースは、重要文化財に指定されています。 内部には世界で唯一のエゾオオカミや、南極観測で活躍した樺太犬タロなどの多くの剥製や考古学資料などが展示されていますが、そこで、ウトウやエトピリカの剥製に出会いました(2022.8.26.撮影)。
 ウトウやエトピリカは、以前私が鳥の撮影に夢中だった頃、ぜひとも撮りたい鳥でしたが、両種とも1年の大半を北方の海上で暮らす鳥で、撮影は容易ではなく、願い叶わず今日に至っています。 剥製とはいえ、あこがれの鳥との対面でした。

● ウトウ

 ウトウ Cerorhinca monocerata は北日本の沿岸からカリフォルニア州までの北太平洋沿岸に広く分布する1属1種の海鳥です。 夏羽では上側のくちばしのつけ根に突起ができ、目とくちばしの後ろにも眉毛とひげのような白い飾り羽が現れて独特の風貌となるのですが、上ではこの白い飾り羽が伸びきっていません。 和名はアイヌ語で「突起」の意味のようです。
 非繁殖期は海上で暮らし、繁殖地は断崖の上です。 繁殖期には夕方にヒナの餌としてつかまえた大量の魚を嘴にぶら下げて帰ってくるユーモラスな姿で知られています。

● エトピリカ

 エトピリカ Fratercula cirrhata はオホーツク海から千島列島、カリフォルニア沿岸部に分布、1年の大半を外洋で過ごし、繁殖期のみ島嶼部などの断崖で営巣します。 和名はアイヌ語で「くちばし(etu)が美しい(pirka)」に由来します。
 写真には写っていませんが、足も赤く、全体が美しい鳥で、花魁(おいらん)鳥とも呼ばれています。 日本では生息数が減少していて、環境省レッドリストでは絶滅危惧IA類 (CR)に指定されています。

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