2023-02-02

オビナシヨウジョウゴケ?

 枯れたキジノオゴケの上で育っていた上の写真の2種類の苔類、大きい葉の方は調べていませんが(カマハコミミゴケ?)、小さな葉の方は、平凡社の検索表をたどると、ぴったりとあてはまる種は無いのですが、十分生長していない株のオビナシヨウジョウゴケ Cololejeunea pseudofloccosa ではないかと思います。 平凡社に図は載せられていませんが、水谷(1961)の図とも大きな違いは無いように思います。

 背片は卵形です。 上の写真の植物体の幅は 0.3mmほどで、平凡社の本種の幅は 0.4mm以上となっています。
 腹片も上の写真では背片の約1/2の長さですが、平凡社の本種の腹片は背片の約1/3長となっています。

 上は腹面から茎の表面にピントを合わせています。 仮根が出ていますが腹葉は無く、ヒメクサリゴケ属( Cololejeunea )であることには間違いないでしょう。


 腹片の第1歯は2細胞長で、先端の細胞は尖っています(金槌形ではありません)。 第2歯は1細胞で、上の2枚の写真では第2歯に寄り添っているように見えますが・・・

 上の写真では第1歯と第2歯は交差しています。 このような場合、片方の歯にピントを合わせると、他方の歯はほとんど見えなくなるほどボケますので、上の写真は深度合成しています。

 上は背片の背面を撮っています。 背片の背縁は規則的な弱い鋸歯状です。 眼点細胞は無く、1細胞のビッタがあります。 各細胞には1個のパピラがありますが・・・

 横から見ると、短い円柱形で、先が丸いパピラです(上の写真)。

 腹片の腹面にはパピラはありません(上の写真)。

(2023.1.16.)

【参考文献】
水谷正美:日本産クサリゴケ科の再検討.服部植物研究所報告第24号,1961.

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