2023-05-01

シラホシムグラ(ヤエムグラとの比較)

 上はヤエムグラ Galium spurium var. echinospermon (アカネ科)で、史前帰化植物とされています。 茎は柔らかく、自らの茎で立ち上がることはできないのですが、茎にも葉にも果実にも小さな棘があり、この棘でお互いに絡み合い、他の植物にも絡んで、和名のとおり幾重にも重なって立ち上がります。 昔から身近な植物として知られていて、私も子供の頃に、輪生の葉のすぐ上で茎を切り、バッチのように服につけて遊んだものです。

(参考) 小倉百人一首で
  八重むぐら しげれる宿の さびしきに 人こそ見えね 秋は来にけり
と詠われている「八重むぐら」は、カナムグラ(アサ科)であると思われます。

 このヤエムグラが、気づかれないままに、シラホシムグラ Galium aparine に次第に置き換わっているようです。

 上がシラホシムグラです。 ヤエムグラとは別種ですので、もちろん細かく見ればいろいろと違いがあるのですが、肉眼的にはとてもよく似ています。
 シラホシムグラはヨーロッパ原産の帰化植物で、和名を提唱したのは当時大阪府立園芸高校の教諭であった上村修二氏で、現在のところ最も古い記録は1990年の標本が確認されています。
 和名は星のように小さな白い花に由来しますが、ヤエムグラの花も淡い黄緑色であるとはいえ、ほぼ白色で、その差はわずかです。

 両者を最もはっきりと区別できるポイントは、茎の節部の毛叢です。


 上の2枚はシラホシムグラで、葉が輪生している節のすぐ上の部分に白い毛が集中して生えていて、葉の基部の下側にも下向きの毛があります。
 下はヤエムグラで、上記のような毛はありません。

※ 写真は最初の1枚を除き、2023.4.30.に堺市の光明池駅周辺で行われた堺植物同好会の観察会で撮影しました。

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