上は、2月12日に行われた「岡山コケの会関西支部」(通称「オカモス関西」)の観察会で撮った写真で、アカメガシワ?の樹幹に、小さなコケと、その周辺に赤い小さな粒がついています。
コケは、その大きさや育っている様子からヤマトヨウジョウゴケだろうと見当がつくものの、赤い粒については、コケの無い所にも見られることから、白っぽい地衣類の子器ではないか、コケに寄生する菌類のちいさなキノコかもしれないなど、いろんな意見が出されたものの、とにかく持ち帰って調べようということになりました。
以下は持ち帰っての私の観察結果です。 まずはコケの名前調べから。
腹葉は無く、三角形の腹片、不明瞭なトリゴンなど、ヤマトヨウジョウゴケ Cololejeunea japonica で間違いなさそうです。(ヤマトヨウジョウゴケについては、これまで何度も載せていますので、今回は上の写真だけにします。)
さて、赤い粒です。 現地で何枚も撮った写真を拡大して見なおしていると・・・
ほとんどの赤い粒は、写真を拡大しても“赤い粒”としか言いようのないものですが、1つだけ、五角形のものがみつかりました(上の写真の黄色の矢印)。 そこで思い出したのは、ヤマトヨウジョウゴケには5稜の雌器があったことです(こちら)。
顕微鏡で“赤い粒”を探しました。
顕微鏡で観察しても、ほとんどの“赤い粒”は赤い塊なのですが、その塊の表面に細胞壁らしいものが見えます。 そして、上の写真のものが1つだけですが、見つかりました。 ちょうどお椀を真上から見たように見えます。
以下は私の考察です。 “赤い粒”は胞子を出し終えたヤマトヨウジョウゴケ(以下「本種」と書きます)の古い蒴だと思います。 ほとんどの蒴は形が崩れてしまっていますが、ほんのわずか5角形やお椀のような形を保ったものが残っているのだと思います。 最初の写真のような本種の無い所にも赤い粒があるように見えたのは、じつはそこにも本種があるのですが、葉緑体を失って見えなくなってしまっているのだと思います。
胞子を出す前後の本種の蒴の姿がわかれば、この説が正しいかどうかが分かるのですが、検索しても本種の蒴をみつけることはできませんでした。 小さな苔類ですし、蒴を観察できる期間は限られていますから、観察例は多くないでしょう。 しかたがありません。
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