2014-03-24

コケ植物の用語解説

 ブログの1記事ですので、主観を入れて書いている部分もあります。ご注意ください。

【あ】
薄板(うすいた):スギゴケ科の葉の表面などに見られる板状の構造。
腋毛(えきもう axillary hair ):ほとんどの蘚類で葉腋に見られる。
 新葉の初期に粘液を出し、葉と茎頂を乾燥から守る役割を果たすと考えられている。
 ナシゴケの所に写真を載せてある。

【か】
外曲(がいきょく):葉の縁が茎と反対の側に曲がること。
ガイドセル:蘚類の中肋の横断面で見られる大形で丸い細胞。
学名(がくめい):正式な名前で、属名と種小名からなる。
 後ろに命名者等が付記されることもある。
仮根(かこん):根のように見えるもの。師管や導管は無く、種子植物の根とは役割が
 全く違っている。
花被(かひ):苔類に見られる造卵器や造精器の保護器官。
 被子植物の花弁やガク片に似ているところからの名前だが、全く別のもの。
カリプトラ:胚や若い胞子体の保護器官。
基物(きぶつ):コケ植物が(多くの場合は仮根で)くっついているもの。
偽毛葉(ぎもうよう):蘚類の枝や芽の基部に見られる毛様に似たつくり。
茎葉体(けいようたい):配偶体のうち、茎と葉の形態的分化のみられるもの。
舷(げん):一部の蘚類の葉縁に見られる細長い細胞でできた部分。
 強度を保つ働きをしていると思われる。
原糸体(げんしたい):胞子が発芽してできるもので、蘚類では糸状。
 この上にできる芽が生長して植物体となる。
口環(こうかん):多くの蘚類で蒴の口と蓋の間に見られる組織。例 → こちら
苔(こけ):一般に蘚苔類全体を指すが、「苔類」と紛らわしいので、使わない方がよい。
コケ植物 → 蘚苔類(せんたいるい)

【さ】
蒴(さく):胞子体上部の膨らんだ部分で、胞子はこの中で作られる。
 胞子のうに相当するが、シダ植物などの胞子のうとは、かなり異なる。
蒴歯(さくし):蒴の口の周囲に見られる歯状の構造。
雌器托(しきたく):配偶体の一部が造卵器をつけるために分化した構造。
 ゼニゴケの仲間で見られる。
雌苞葉(しほうよう) → 苞葉
ステライド:蘚類の葉の中肋に見られる小形で厚壁の細胞。
 葉を丈夫にする役割があると思われる。
蘚苔類(せんたいるい):いわゆるコケ植物で、蘚類、苔類、ツノゴケ類に大別される。
側糸(そくし):蘚類の造卵器や造精器の周囲に存在する、ふつう1列の細胞からなる組織。
属名(ぞくめい) → 学名

【た】
中心束(ちゅうしんそく):蘚類の茎の中心部にある特殊化した細胞の集まり。
 これの有無も同定の大切な要素
中肋(ちゅうろく):蘚類の葉や、葉状体苔類の中央にみられる厚い部分。
透明尖(とうめいせん):葉先の尖って透明になっている部分。
 何種類かの蘚類で見られる。
トメンタ(tomentumの複数形):葉など植物の部分にあるフェルトのような綿毛の覆い
トリゴン:苔類の葉身細胞で、細胞壁が厚くなって三角形に見える部分。

【は】
胚(はい):母体内にとどまり、母体から栄養をもらって成長している段階の幼植物。
 なお、動物では卵割の開始から摂食開始の直前まで。(定義が異なる。)
配偶体(はいぐうたい):卵細胞や精子を作ることのできる体で、いわゆるコケ本体。
背片(はいへん):苔類の葉が折り畳まれている場合の、背側の裂片。
背面(はいめん):腹面の反対側 → 腹面
パピラ:細胞の表面にある突起。
披針形(ひしんけい):細長く先のとがった葉の形。
 「披」には開く、広げるの意味があり、線形より幅広い。
腹片(ふくへん):苔類の葉が折り畳まれている場合の、腹側の裂片。
腹面(ふくめん):蘚類では葉の茎に向いている側。苔類では基物に向いた面。
腹葉(ふくよう):左右につく葉とは別の、腹側につく葉。
蓋(ふた):蘚類の蒴の口を覆っている部分。胞子が成熟すると外れる。
プロラ:パピラのようにはっきりしないかすかな突起
帽(ぼう):蘚類の蒴の先端を覆って保護している部分。
胞子体(ほうしたい):胞子生殖をする体。
 多くの蘚類では蒴、蒴柄、足の3つの部分からなる。
苞葉(ほうよう):生殖器官の近で、ふつうの葉とは違った特徴を持っている葉。

【ま】
マミラ:細胞の表面の凸レンズ状の膨らみ。
無性芽(むせいが):配偶体上に無性的に作られる。
 発芽して新しい個体となることができる。
毛葉(もうよう):茎や枝の表面にある毛状または小さな葉状のもの。

【や】
雄器托(ゆうきたく):配偶体の一部が造精器をつけるために分化した構造。
葉腋毛(ようえきもう) → 腋毛(えきもう)
葉状体(ようじょうたい):ツノゴケ類や苔類の葉と茎が分化していない植物体。
翼部(よくぶ):蘚類の葉の基部に見られ、葉身細胞とは異なる細胞の集まった部分。

【わ】
和名(わめい):学名に対し、日本だけで通じる名前で、カタカナ表記とする。
 世界的に見れば方言のようなもの。
 

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