2022年の1月8日から23日まで、大阪市の「咲くやこの花館」でコケ展が開催されます。 現在その関係で館内のコケを調べているのですが、上の写真のようなコケがあり、SNSでナシゴケ Leptobryum pyriforme と教えていただきました。 このブログでは前に蒴のあるナシゴケを載せていますが(こちら)、これとも葉の細胞の特徴など、よく一致しています。
平凡社の図鑑では、「少数の線形の葉(長さ 3-5mm)が茎の上方に固まってつき、・・・」とありますが、上の写真では、葉の長さは1~2mmですし、葉は茎にほぼ等しくついています。 これは後に書くこととも関係しますが、おそらく若い群落だったためと思います。
上の3枚は葉先、葉の中央部、葉の基部です(倍率は同じではありません)。 中肋は太いのですが、葉身細胞との境界は不明瞭です。 葉身細胞は線形で、上の写真では、長さ 40~90μm、幅 4~5μmです。
上は葉の横断面ですが、中肋と葉身細胞の境界が不明瞭であることは、上の写真からも言えます。
上は茎頂近くです。 中央のボンヤリ赤いのはノイズですが、茎頂近くの葉腋には葉を透かして赤っぽいものが見えます(赤い円で囲った部分)。 下は葉を取り去って、この色のついたものを正面から見た写真です。
これは腋毛(axillary hair)で、葉がまだとても小さい時に粘液を出して葉と茎頂を乾燥から守る役割を果たしているようだと教えていただきました。 ほとんどのセン類で葉腋に見られ、分類群によって形や細胞の数に特徴があり、識別形質によく使われるということです。
◎ こちらでは本種の仮根の様子などを載せています。
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