2014-12-13

クロスジフユエダシャクの交尾行動

 あちこちで飛び回っていたクロスジフユエダシャクも、めっきり少なくなりました。 このあたりで、今年観察した交尾行動などのまとめをしておきます。 なお、昨年までの観察内容は、下の(備考)にまとめました。

 「堺自然ふれあいの森」では、今年は11月24日にはクロスジフユエダシャクの飛翔は確認できず、27日にはたくさん飛んでいました。 そして28日には、たくさんの交尾中の個体を確認しています。 葉の上で休んでいるようなオスもたくさんいましたが、メス探しに疲れて休んでいるのか、既に交尾を終えたオスかもしれません。
 飛べないメスは、安全な枯葉の裏に隠れてフェロモンを出し、オスが見つけてくれるのを待ちます。 オスよりもずっと個体数が少ないと思われるこの未だ交尾していないメスを探すには、手当たり次第に枯葉をひっくり返すことは効率的ではありません。 オスに探してもらうのが効率的なようです。
 高く飛ぶオスは、既に交尾が終わったなどの理由で、メスを探す気の無いオスでしょう。 地表すれすれに、時々確かめるように地面に触れて飛ぶオスに注目します。 このオスがストンと急に地面に降りたら、それは飛ぶことに疲れたのか、休むためでしょう。 メスの出すフェロモンが空気の動きで揺らぐからでしょうか、オスはメスに近づいても、なかなかメスを見つけられないようです。 翅をパタパタさせながら狭い範囲を動きまわるオスがいたら、そこにメスがいるはずです。 この違いを理解するのに、かなりの時間を費やしてしまいました。
 12月に入っても、たくさんのオスを目にしました。 下の動画は12月8日に撮ったオスの様子です。 メスを探して飛翔していたオスが地表に降り、しばらくしてから翅を動かしたので、念のために近づいてみたのですが、これくらいの翅の動きでは、やはりメスはいませんでした。 翅を動かしたのは、体を安定させるためだったようです。 なお、この動画のBGMには、いつものようにMusMusさんのフリーの楽曲を、演奏時間などを少し変更して使用しています。


 下は上記のようなオスの動きに注目して、11月28日に見つけたメスです。 ただこの時はしっかり交尾に至るまで待ちきれずに葉を裏返してしまったため、オスは逃げてしまい、メスは偽死状態になってしまいました。 せっかくですので、腹側からの撮影です。



 上は口が退化していることを確認するために拡大したものです。

 オスから精子を受け取ったメスは、産卵場所に移動します。 下の動画は、交尾したままオスを引きずってクヌギの木を登るクロスジフユエダシャクのメスです。 BGMはMusMusさんのところの楽曲を使用しています。


 この日(11月28日)は上の動画の木には、4組の交尾中のクロスジフユエダシャクがいました。 下の写真の①~④で示した円にいるのが、その交尾中のものです。


①②  1,500×1,000



 じつは上のオスを引きずって移動していたメスが④です。 この位置で止まりました。 ①~③については、その場所での交尾に至る経過を観察したわけではなく、既に木に登っていたメスにオスが近づいてきたことを否定はできませんが、上の動画と同様に交尾しながら登ってきて、その場所で止まって交尾を続けている可能性の方が高いように思います。

 しばらく見ていると、②のオスが交尾を解消して飛び立ちました。 その瞬間は予測できずに動画に撮れていませんが、その後すぐ、メスは産卵に適した場所を求めてでしょうか、さらに上に登りはじめました。 けっこう速いスピードです。 下がその動画です。 動画だけ見ると、単にメスが歩いているだけですが・・・。 BGMはやはりMusMusさんの楽曲です。


 動画の最後に立ち止まった所で産卵するのかと思い、しばらく見ていましたが、じっとしたままでした。 次の日に確認に行きましたが、もうメスはいませんでした。 少し高い所で、ルーペで詳しく見ることもできませんでしたが、その場所に特に変わった様子は見られませんでした。

(備考) クロスジフユエダシャクを中心とした昨年までの観察内容
・2008年1月 冬尺に注目(こちら)、メス探を探すも見つからず(こちら)。
・2010年12月 たくさん飛び回るクロスジフユエダシャクのオスの行動に注目してメスを探そうとするが、メスは見つからず(こちら)。
・2012年1月 初めて見た冬尺のメス(こちら)。 たぶんシロオビフユシャク。 目が慣れたのか、この後は次々と冬尺のメスを見つけることができました。
・2012年12月 クロスジフユエダシャクの交尾など(こちら)。
・2013年12月 交尾の時間帯についての考察と、オスの行動からメスを見つけることに成功(こちら)。

2 件のコメント:

  1. そよかぜさん こんばんは~
    タイに出掛けていたのですっかり遅くなってしまいましたが、当記事に感動しました。
    詳細な観察とその順を追った説明、動画入りの鮮明な画像と相俟ってクロスジフユエダシャクの
    行動がとてもよく分かりました。
    次はこれらのことを頭に叩き込んでフユシャクの観察に臨みたいと思います。

    今年一年大変お世話になりました。来年もどうぞ宜しくお願い致します。
    それでは良いお年をお迎えください。

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  2. マッシーさん こんばんは
    マッシーさんのタイの鳥の写真もすばらしいですね。

    こちらこそ、来年もよろしくお願いいたします。
    鳥の情報も交換できたらと思います。

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