コケ植物(蘚苔類)で、蘚類の代表としてはスギゴケが、苔類の代表としてはゼニゴケがよく挙げられます。 しかし上記のスギゴケとは「スギゴケの仲間」という意味で、種としての
スギゴケは、本州中部以南では高い山に登らないと見ることができません。
その点、ナミガタタチゴケ(タチゴケ)
Atrichum undulatum は、人家の近くから高山帯にまで、全国各地に普通に見られるスギゴケの仲間(スギゴケ科)で、コケ庭などにも利用されています。
上はナミガタタチゴケの葉の一部を拡大したものです。 「ナミガタ」の名前のように、葉には波状の横じわが見られます。
他の蘚類には見られないスギゴケ科の特徴の1つとして、葉の上面にラメラ(薄板)と呼ばれている薄い板が何条も縦に並んでいることが挙げられます。 ナミガタタチゴケと混同されやすいコスギゴケの葉は全面がラメラに覆われていますが、ナミガタタチゴケの葉では、中央脈の上に数本のラメラがあるだけです。 上の写真の葉では、4~5本のラメラが見られます。
蒴(さく)は円筒形で、帽子は薄い膜質です。
上は帽子も蓋も取れたナミガタタチゴケの蒴(の一部)です。 スギゴケ科の蒴歯は、他の多くの蘚類とは、かなり様子が違っています。
(2015.1.24. 堺市南区豊田)
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こちらでは、葉の断面など、ナミガタタチゴケの葉をもう少し詳しく見ています。 また
こちらでは本種が雌雄同株(異苞)であることを解説しています。