コケに見られる根のようなものは、シダ植物や種子植物の根のように維管束があるわけではなく、仮根と呼ばれています。 ケチョウチンゴケ(
Rhizomnium tuomikoskii )は、茎から伸びてきた仮根が、丸みのある葉の上に次第に広がっていきます。 「ケチョウチンゴケ」の名前は毛のあるチョウチンゴケということですが、このもじゃもじゃした仮根の様子を毛に見立てたものでしょう。
ケチョウチンゴケの葉の上の仮根は、土に紛れることも無く観察し易いとして、仮根観察の材料としてよく用いられます。
上の写真で黒褐色のものが仮根です。上を向いた仮根の先には、線形の無性芽がついています。 ケチョウチンゴケは
雌雄異株で、雌株には蒴がつき、胞子でも増えますが、上記の無性芽が節で分かれて飛散したものからも、新しいケチョウチンゴケが生じます。
(2015.1.19. 堺市南区豊田)
◎ ケチョウチンゴケの1枚の葉の形、葉身細胞や仮根の顕微鏡写真などは
こちらに載せています。 また、胞子体をつけた雌株の様子を茎の特徴などと共に
こちらに、雄花盤をもった雄株の様子を
こちらに載せています。