2015-08-19
タチスズメノヒエ
上の写真中央、高く伸びているのはタチスズメノヒエ( Paspalum urvillei )でしょう。 タチスズメノエは南アメリカ原産の外来種です。 1958年に福岡県で見出されたのが最初で、現在では関東以西に広く分布しているようです。
タチスズメノヒエは、よく見かけるシマスズメノヒエと同じ属で、よく似ていますが、シマスズメノヒエより高く伸び、総(小穂の並ぶ枝)の本数も、シマスズメノヒエが4~8本であるのに対し、タチスズメノヒエは、上の写真のように、10~20本の総をつけます。
上は総の一部を横から見たものです。 小穂は卵形で先端はやや尖り、絹毛状の長毛がたくさん生えています。 頴の間から出ている黒紫色のものはメシベの柱頭で、黄白色のものや橙色のものはオシベの葯です。
上は総の一部を下から見たものです。 葯の色は花粉を出した後に黄白色から橙色に変化していくのでしょう。
上の写真は上がタチスズメノヒエの総で、下がシマスズメノヒエの総です。 時期的なものや個体差もあるでしょうから、この写真だけでの断言は危険ですが、シマスズメノヒエの総の方が少し太いようです。
タチスズメノヒエとシマスズメノヒエは、上に書いたように、全体の大きさや総の本数でも見分けられますが、葯の出ている時期であれば、シマスズメノヒエの葯は黒紫色ですから、すぐ分かります。(上の写真で、シマスズメノヒエに1つだけ橙色の葯が見えますが、タチスズメノヒエの葯がちぎれてくっついているのでしょう。)
ところで、属名の Paspalum は、ギリシャ語の paspale(キビ)に由来すると考えられ、タチスズメノヒエも暖地型の牧草として、ベイジーグラスの名前で利用されています。
一方で、タチスズメノヒエは他感作用を持ち、沖縄ではサトウキビ畑でよく繁茂し、害の大きい雑草4種の1つとされているようです。 大阪府堺市作成の「堺市外来種ブラックリスト2015」でも要注意種としてリストアップされています。
(2015.8.12. 堺自然ふれあいの森)
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