2016-03-23

ハコネシダ


 岩の割れ目に沿って茂るハコネシダ( Adiantum monochlamys )、ずっとここで育っていたことは枯葉の多さで分かります。
 生えている場所は道を挟んで川に向かい合う斜面ですが、オーバーハングになっていて、雨水は期待できませんし、沁み出る地下水も見当たりません。 水は霧に頼っているのでしょうか。
 学名から分かるように、観葉植物として販売されているアジアンタムの仲間で、ハコネシダも観賞価値の高いシダですが、栽培はとても難しいシダです。 ちなみに、鉢物などでアジアンタムとして出回っているのは、熱帯アメリカ原産の Adiantum raddianum とその園芸品種が多いようです。
 和名は、江戸中期にエンゲルベルト・ケンペルが神奈川県の箱根山でこのシダを採集し、報告したことによるようです。


 上は葉の一部を裏側から見たものです。 葉片は頂縁に鋸歯があります。 ソーラス(胞子嚢群)は各葉片に一つずつつき、葉の先端が裏側に巻いて偽包膜となっています。

(2016.3.13. 奈良県 川上村)

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