上の写真、くすんだ淡い緑色をして、葉(背片)の縁が白っぽくなっているのは、オオスミヨウジョウゴケ
Cololejeunea lanciloba でしょう。 あちこちに樹木が植えられている比較的明るい公園の岩に密着していました。 葉についている円形のものは無性芽でしょう。
本種の分布は、平凡社の図鑑では九州、琉球となっていますが、近畿でも兵庫県、和歌山県、奈良県などでも点々とみつかっています。 大阪市内の靭公園でも確認され、Nature Study 57(3),2011 に載せられています。
上は腹面から10枚の写真で深度合成したものです。 腹葉がありませんが、クサリゴケ科で腹葉が無いのは
Cololejeunea(ヒメクサリゴケ属)だけです。
腹片は大きく、背片の半分近くの長さがあります。 赤い円で囲んだ腹片が他のものと形態が異なるので、これを顕微鏡で観察すると、
造卵器らしきものが透けて見えました。 これを露出させ、深度合成すると、
やはり造卵器のようです。 そして、他の腹片は・・・
腹片には第1歯と第2歯が観察されます。 ほとんどの腹片の中に袋状のものが見られるので、腹片を開いて撮ったのが下です。
これは造精器でしょうか。
上は背片で、縁には他の細胞と異なる薄壁でほぼ透明な細胞があります。 平凡社の図鑑の検索表ではこの細胞は背片の全周にあるようになっていますが、どのオオスミヨウジョウゴケでも全周にあるとは限らないようです。
上は葉身細胞です。
(2017.10.4. 奈良県 川上村)
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