2017-12-16

ケゼニゴケ(12月の雌器托・雄器托)

 ケゼニゴケ Dumortiera hirsuta の柄を伸ばした雌器托(5月下旬撮影)や若い雄器托(9月下旬撮影)はこちらに載せていますが、12月中旬の様子を以下に載せておきます。


 上はほぼ真上から撮った雌器托です。 この断面を見ると・・・


 上が雌器托の断面です(反射光で撮影しています)。 柄はまだほとんど伸びていません。 受精卵から育った球形の胚が左右に見えます。


 上は雄器托です。 ジャゴケの上を覆うように育っていたケゼニゴケですので、ジャゴケの気室孔が白い斑のような模様になって背後に並んでいます。


 上は雄器托の断面です(透過光で撮影しています)。 雄器托の上面近くの縦に伸びる黒い部分は、精子が出る時の通り道に空気が入り込み、水と空気の屈折率の違いから黒く写ったのでしょう。 雌器托で胚が育っていましたから、当然精子が出た後であることは予想できましたし、造精器の所で断面が作れるか否かは運まかせですが、上の写真では、幸い赤い四角で囲った所に造精器が見られます。 下はその赤い四角の部分を、倍率を上げて撮ったものです。


 精子は残っていませんが、よく見ると精子が出て行く通り道が右上の方向に伸びています。

 顕微鏡を使用して断面を観察したついでに、葉状体の断面も観察しました(下の写真)。


 葉緑体は腹面と背面の表皮組織に集中していて、その間にある髄質にはほとんど葉緑体は見られません。 腹面には、腹面に沿って伸び、毛管現象による水の移動に関する仮根(上の写真では断面が写っています)と、下に伸びて葉状体の固定に役立つ仮根の、2種類の仮根が見えます。



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