2018-06-26

オシダ


 上は奥入瀬渓流で撮ったオシダを中心とした林床の様子です(2018.5.31.撮影)。
 オシダ Dryopteris crassirhizoma はブナ林域を中心に分布する夏緑性のシダです。 しかしブナ林の林床はササに覆われることが多く、オシダは、地下茎を伸ばすササの生育しにくい礫を多く含むような場所によく見られます。
 オシダの分布は、北海道から九州までの日本全国で見られますが、そもそもブナ帯の少ない西日本や四国では比較的稀になり、九州における分布は稀となります。
 奥入瀬の成立過程(こちら)から、奥入瀬は上の写真のように岩の多い環境で、地下茎を伸ばさないオシダの生育には適しているのか、あちこちで大きな株が見られました。

 奥入瀬の近くの蔦の七沼を巡る自然探求路(こちら)にも似たような環境があるのか、オシダの群落があちこちで見られました。 以下は特別保護区ではなく自由に観察できる蔦の七沼付近で撮った写真です(2018.6.1.撮影)。


 上はオシダをほぼ横から撮ったもので、葉はロート状に開いています。 葉柄は短く、葉の幅は、葉の先端から1/3ほどの所で最も広くなります。


 ソーラスは葉身の上部のみに付き、円形に近い円腎形です。 葉の裏面全体に細長い毛状の鱗片があります。 羽軸上の鱗片から中軸上の鱗片へと変化するにつれ、鱗片の幅は少しずつ広くなり、色も濃くなっていきます。


 上は中軸の下部から葉柄にかけての様子で、褐色の鱗片が密生しています。 鱗片の幅は下に行くほど(=地面に近づくほど)広くなります。


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