2018-06-04

奥入瀬-コケが再生させた森


 青森県の奥入瀬渓流は、カルデラ湖である十和田湖が15,000年ほど前に決壊し、その時の巨大洪水で作られたU字形をした谷です。
 奥入瀬渓流の全長は 14kmあるのですが、これに対して標高差はたったの 200mです。 ですから、渓流に見られる巨岩の多くは巨大洪水が作りだしたものだと思われます。


 大きな岩は渓流の脇にも多く見られます。 奥入瀬の特徴の1つは、このような大きな岩の上に、根が岩を抱きかかえるようにして木が育っていることです。 根が張れないはずの岩の上で、どのようにして木が育つことができたのか、それには以下のような経過が考えられます。
 まず、湿度の高い環境下で岩の上にコケが育ちます。 コケには抗菌作用があり、水も貯えます。 ここに木の種子が落ちると、コケに守られ、細い根をコケの中に這わせていきます。 そしてコケに守られながら岩の表面を這っていた根が土に届くと、木の生長が早まり、根も太くなり、岩を抱きかかえるような根になる、と考えられています。

 十和田湖は珍しい2重カルデラ湖で、十和田火山は少なくとも2度大きな噴火をしたことが分かりますが、じつは何度も噴火しています。 最近の噴火は 915年に起きています。 この時の噴火で森は焼け野原になったようですが、上記のような経過を経て現代の姿になったようです。 まさにコケが森を再生させたと言えるでしょう。

(使用した写真は、2018.5.31.に撮影したものです。)

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