2019-08-20

ナガスジススキゴケ



 昨日に続いてススキゴケ属の小さなコケです。これも大阪市立自然史博物館の「標本の名前を調べよう」で調べてもらったもので、ナガスジススキゴケ Dicranella varia だろうということになりました。 やはり保育社の図鑑には記載が無く、平凡社の図鑑も小さな写真と検索表にあるのみのコケです。


 上の写真では茎は2mmほど、長い蒴柄を持つ胞子体をあわせても、高さは7mmほどです。 胞子体は濃い赤褐色です。


 上はこのコケを観察している様子です。 胞子を飛ばし終えた時期で、植物体も弱っていて緑色が薄れて褐色ぎみになっていることもあり、肉眼では砂粒に紛れて、場所を示されても存在が分かりません。
 北海道、本州、四国の低地~山地の裸地面に生えるコケのようで、今回みつけた場所も、上の写真のように、やはり裸地面でした。


 葉は卵形の基部から、やや急に細くなり、針状に伸びていますが、葉先は鈍頭です。 中肋は、上の写真でははっきりしませんが、葉先には届いていないようです。


 上は葉の基部付近です。 葉身細胞は平滑で、翼部は分化していません。


 上は茎(中央)と葉(右)の横断面です。 披針形の葉を持つコケは、ギボウシゴケ科、センボンゴケ科、シッポゴケ科などがありますが、これらのどれに分類されるかを調べるポイントの1つに、パピラやマミラの有無があります。 しかし低いパピラやマミラの場合は、表面からでは分かりにくいので、葉の断面を確認すれば確かです。 上の写真では、たくさんのゴミがついていますが、パピラは確認できませんから、センボンゴケ科ではないことが分かります。


 上は蒴を拡大した写真で、蒴歯は1列16本、先端は2裂しています。 このような蒴歯はシッポゴケ科によく見られます。


 蒴歯は全体がパビラに覆われています(上の写真)。 2裂しているのは蒴歯の先端部分のみですが、それに続く縦の条が蒴歯の基部まで続いています。

(2019.3.13. 兵庫県三田市)

こちらには帽のある蒴をつけた本種の様子を載せています。


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