2019-11-26

オースチンカンムリゴケ


 写真はオースチンカンムリゴケ Micromitrium austinii です。 笠井氏に案内していただき、撮影出来ました。
 平凡社の図鑑には、Micromitrium(カンムリゴケ属)は日本産は2種であるとして、カンムリゴケ M. tenerum と オオミカンムリゴケ M. megalosporum が載せられていますが、本種は 2006年に木口らが日本新産として報告しています(下記参考文献)。


 上の写真で、右の蒴は黒っぽくなっていますが、左の蒴は褐色で、配偶体の色も薄くなっています。 左は何らかの理由で十分生長できなかったのでしょうが、いずれにしても、胞子が成熟するにつれ、蒴は黒っぽくなっていきます。


 感覚的に大きさが分かるように、アゼゴケと一緒に写してみました。 写真右のオレンジ色のものは、“紅葉”しかけているイチョウウキゴケのようです。

 カンムリゴケ属の同定で、オオミカンムリゴケは蒴壁に気孔があり、胞子も大きいのですが、本種とカンムリゴケはどちらも蒴壁に気孔は無く、胞子の大きさもほぼ同じ 20~40μmですので、茎の長さと葉縁で区別します。
   茎の長さ    葉  縁
カンムリゴケ 0.5~4mm ほぼ全縁か上部に不規則な歯
オースチンカンムリゴケ 0.2mm以下 上部に細胞の突起による明瞭な歯


 上の写真で、写し込んだスケールは、全体で1mmですので、茎は0.2mm以下です。


 上が葉です。 そして・・・


 上が葉の上部の拡大です。 細胞の突起による歯が確認できます。


 上は胞子が蒴から出ている状態です。


 上は胞子で、大きさは20~40μmです。

(2019.11.21. 滋賀県高島市)

(参考文献)
木口 博史, 岩月 善之助, 鈴木 直(2006). Micromitrium austinii(オースチンカンムリゴケ,新称)は日本にも産する. 蘚苔類研究9(4).


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