2019-12-17
カゲロウゴケに寄生するチャワンタケの一種
蘚類のカゲロウゴケに絡まったような橙色の円盤状のもの、断面を作ってみると・・・
断面を作って顕微鏡で観察するとチャワンタケの仲間の子嚢盤でした。 子嚢盤(apothecium)とは子嚢菌が作る子嚢果のうち、子実層が裸出しているものを言いますが、上の写真でも子実層にたくさんの子嚢が並んでいて、一部は切断時にあちこち飛び散っています。
チャワンタケ綱(Pezizomycetes)のなかには Octospora属の一種など、蘚類に寄生するものが知られています。 写真の様子からすると、この場合もカゲロウゴケに寄生していたチャワンタケの仲間の子嚢盤だったのかもしれません。
上は子実層の拡大です。 子嚢胞子を一列に並べて入れた子嚢の間には、たくさんの側糸も見えます。
上は切片作成時に飛び散った子嚢(ascus)で、8個の子嚢胞子(ascospore)が縦に並んでいます。 子嚢菌(Ascomycota)では、子嚢母細胞が減数分裂に続いて体細胞分裂を1回行い、8個の子嚢胞子が形成されることが普通です。
(2019.11.21. 滋賀県高島市)
-----(以下、2025.11.25.追記)---------------------------------------------------
上のチャワンタケは、Lamprospora annulata の可能性が高いと、細野天智先生(2025年11月現在、神奈川県立生命の星・地球博物館 外来研究員)に教えていただきました。
先生によれば、本種はキンチャクゴケ属 Pleuridium、あるいはヒメカゲロウゴケ Ephemerum minutissimum を宿主に持つ種として知られているが、現在までに報告があるのはヨーロッパおよびアメリカで、アジアからは無いとのことです。 つい先日、筑波大学の学生さんとカゲロウゴケ属の原糸体から生えた L. annulata を発見し、本種について調べていた際、このブログに来ていただいたようです。
このことをここに載せて良いか先生にお尋ねしたところ、この機会にコケに興味がある方々にコケチャワンタケについても知って頂けたらと、許可していただきました。
なお先生は、2019年の日本蘚苔類学会第48回福岡大会において、コケ植物と特異的に相互作用をする盤菌類(子嚢菌門チャワンタケ目)について発表され、口頭発表部門の優秀発表賞を受賞されています。



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