2019-12-19

ギボウシゴケ


 写真はギボウシゴケ科のギボウシゴケ Schistidium apocarpum です。 ケギボウシゴケはいろんな岩上によく見られますが、本種は石灰岩上に見られます。


 茎はよく分枝します。 葉の長さは2~2.5mmで、葉先はふつう透明尖になっています。 本種はシズミギボウシゴケ属ですが、この属名は蒴が雌苞葉に沈み込んでいることによります。 上の写真の場合も、複数の蒴があるのですが、特に蓋の落ちてしまっている時期は、よく発達した雌苞葉に隠されていて、ほとんど見えません。 比較的よく分かる蒴の場所を黄色の円で囲っておきました。


 葉は披針形で全縁です。


 上は葉の背面の拡大で、写真の左下から右上に伸びているのは中肋です。 中肋の背面は平滑です。


 葉縁基部の細胞は方形~短い矩形で、縦壁と横壁はほぼ等しく肥厚しています(上の写真)。


 上は葉の横断面です。 葉身の細胞はは所々2層になっています。 また葉縁も2層の細胞です。
 中肋は一部が欠けてしまったので、下に改めて載せておきます。


 中肋にはガイドセルもステライドも見られません。


 上は蒴の手前にある雌苞葉や葉を取り除き、蒴が見えるようにして撮影しています。 短い蒴柄も確認できます。


 上は蒴を縦に切断した片方で、カバーガラスで押さえていますが、うっすらと縦皺の存在が分かります。
 蒴歯は単列で、上の写真では8本が写っていますが、全体では16本です。


 蒴壁の表皮細胞は薄壁で、縦長の矩形です。


 蒴歯の表面は微小なパピラで覆われています。 なお、上の写真の丸いものは胞子です。


 上は胞子です。 表面に突起などはありません。


 上は茎の断面で、中心柱が存在します。

(観察したギボウシゴケは7月に彦根市で採集されたもので、笠井氏に提供いただきました。)

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