2020-02-07

ホソバギボウシゴケ


 写真は擁壁についていたホソバギボウシゴケ Schistidium strictum です。 ほぼ同時期のものを前にも載せていますが(こちら)、多型で、変異の幅が大きい種ですので、再度いろいろ観察してみました。


 葉は卵状披針形で、基本は全縁ですが、上の写真の葉は先端付近でかすかな鋸歯が出ています。


 上は葉先付近を背面から撮っています。 中肋は葉先に達しています。 葉の先端はときに上のように短い透明尖になります。


 上は葉の基部の様子で、下は上の赤い四角で囲った部分の拡大です。


 葉縁基部では横長で矩形の細胞が多く見られます。 また、これらの細胞の横壁と縦壁はほぼ同じ厚さです。 これらの特徴は、本種によく似たコメバギボウシゴケと見分けるポイントの1つになります。


 上は葉の横断面です。 中肋は腹側が凹んでいます。 下の写真は上の中肋付近です。


 Schistidium属の中肋にはガイドセルもステライドも見られません。 平凡社の図鑑の検索表では、「(本種やコメバギボウシゴケの)中肋(少なくとも若い葉)の背面にパピラか低い鋸歯状の突起がある。」となっていますが、上の写真には該当のものが写っているのかゴミなのか、よく分かりません。


 葉身細胞は多くは1層ですが、所々2層になっている所があります。 また、2細胞層になって外曲している葉縁も多く見られます。


 横から見ると、Schistidium属の蒴は雌苞葉に沈生しています。 多くの雌苞葉には透明尖はありませんが、短い透明尖を持つ雌苞葉も見られました。


 上は雌苞葉と葉を少し取り除いて撮っています。 蒴は短い真っ直ぐな蒴柄についています。 蒴は茎に頂生しているのですが、すぐ横から新しく茎が伸び出し、側生しているように見えています。


 上は蒴の表皮細胞で、右が蒴口の方向になります。

(2019.12.11. 大阪府高槻市 川久保)

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